システマ SP-T ジェルなど
しかし私はこのような「薬用歯みがき粉」について腑に落ちない思いを抱いています。
歯みがき粉の薬効成分について
歯磨き粉には、薬効成分のはいった「医薬部外品」と薬効成分のない「化粧品」があります。
医薬部外品の歯磨き粉には薬効成分がはいっているため、それに応じた薬効が期待できます。
たとえば知覚過敏に効く薬効成分がはいった医薬部外品の歯磨き粉には「歯がしみるのを防ぐ」と記載されています。
知覚過敏に効く薬効成分がはいっていないのに「歯がしみるのを防ぐ」とはいえないのです。
このような当たり前のことが決められています。詳しくはこちら⇨歯みがき類の表示に関する公正競争規約
では「医薬部外品」や「薬効成分配合」と書かれている歯磨き粉に効果はあるのでしょうか?
その回答は、効果ありです。
しかし気になることがあります。
歯周病に効く?薬効成分の罠
こちらの 「アセス」は歯磨き粉で唯一「医薬品」に認定されています。そして「歯周病に高い効果がある」と言われています。
歯周病に効果があるといわれる薬効成分とその役割ですが
1、3つの天然ハーブ、カミツレ⇨殺菌作用
2、ラタニア⇨収れん作用(歯茎をひきしめる作用)
3、ミルラ⇨抗炎症作用
殺菌作用とは、歯周病の原因菌とされる菌を殺す作用です。
抗炎症作用というのは、炎症(腫れ、出血、痛み、赤みなど)を抑える効果です。
歯周病の症状は、歯茎をぶよぶよに腫れ、出血がしやすくなるため、この炎症が抑えられれば自覚症状としては治ったように感じるでしょう。
しかし、はっきりいってこれらの成分はゴミです。
歯周病に効くとされる成分はゴミ
殺菌作用
殺菌作用と聞けば効果がありそうに思えます
しかし細菌を死滅させる抗菌薬(抗生物質)を併用しても、歯石をそのままにしているのでは歯周病は治らないことは長年の研究で既に分かっています。
歯茎をひきしめる作用
歯茎をひきしめるといえば聞こえは良いでしょう。
しかし歯茎をひきしめる作用とは「コルセット」のようなものです。
例えばあなたのお腹がでていて、いわゆるメタボと呼ばれる状態だとしましょう。
お腹にコルセットを締めれば、一見痩せているように見えますよね。
さてメタボは治っているでしょうか?
そんなことはあり得ません。
メタボを治すためには、お腹の脂肪を減らす努力が必要です。
歯周病を治すためには、原因となる歯石にたいしてアプローチが必要です。
抗炎症作用
抗炎症作用は、炎症(腫れ、出血、痛み、赤みなど)を抑えてくれます。これによって歯周病によって引き起こされる炎症による症状が緩和されます。
しかし抗炎症作用には歯周病を治すことができません。
むしろ悪化すらありえます。
なぜならば炎症とは体の免疫機能と細菌が戦う結果生じるものです。
炎症を食い止めると、細菌はむしろ活動しやすくなります。
強い炎症が起きている状態でなければ、抗炎症作用は必要のないものです。
歯周病は歯磨きでは治せない
歯周病の根本の問題は歯茎の奥深くに潜り込んだ歯石です。
歯磨き粉による歯周病に効く成分はあくまで症状を緩和するのみです。
感染源である歯肉深く潜り込んだ歯石を放置したまま、痛みと腫れを抑えているだけということです。感染源はそのまま存在するので、日に日に病状は進行します。
歯周病は早期に適切な歯科医院で治療できれば、ほとんどのケースで治すことができます。
参考:歯周病学会専門医・認定医
しかし重度に進行してしまうと歯が抜くしかなくなってしまった、ということが起こりえます。
歯医者でおすすめの歯磨き粉は本当にあなたにあっている?
上記のように、歯周病に効くとされる歯磨き粉には
1、そもそも歯周病は治せない
2、抗炎症作用は諸刃の剣
といった懸念事項があります。
歯周病でない人にとっては無駄に値段だけ高いと言わざるを得ません。歯周病の方にしても、歯磨き粉では歯周病を治せないという認識が必要です。
抗炎症作用に関しては、むしろ細菌が活動しやすくなります。
まとめ
・歯みがき粉で歯周病が治ると誤解させるような表現はおかしい
・歯磨き粉の効果はあくまで一時的なもの
・歯周病は歯石をとらなければ治らない
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