こんにちは。にこです。
2021年5月、世間では「ガッキーの結婚」について沸いています。ハッピーなニュースなのか、バッドなニュースなのかは見方によって変わります。
ガッキーの結婚を報道する一方で、「イスラエル軍の空爆」、「パレスチナのイスラム原理主義組織ハマス」、「ロケット弾で報復」などの危なっかしいニュースも耳にしました。
下の動画は、イスラエル中部に住むルイス・フィッシュマンが2021年5月11日にTwitterに投稿したもので、夜空に閃光と煙が上がる様子が見れます。これらの閃光は、数百発のロケット弾がイスラエルの防空システムミサイルに迎撃された際の光です。
【動画】テルアビブ上空でロケット弾を迎撃するイスラエルのミサイル
The skies of Tel Aviv tonight as the Iron Dome missiles are shot into the sky to blowup the incoming rockets from Gaza. Just surreal. pic.twitter.com/zXgAaU5tF6
— Louis Fishman لوي فيشمان לואי פישמן (@Istanbultelaviv) May 11, 2021
このような衝撃的な動画を見たとしても、多くの日本人は「どこか遠いところで戦争していて大変だな」くらいの感覚しかないのかもしれません。
ところで皆さん「進撃の巨人」はご存知でしょうか?
実はあの最高の漫画が扱ったテーマは、パレスチナで起きている問題と非常に近いのです。なぜならどちらも民族の争いだからです。
エレンの選択は正しかったのでしょうか?わたしは進撃の巨人を読んでから、民族間の争いについて考えるようになりました。
進撃の巨人はあくまで空想上の出来事ですが、パレスチナ問題は現実に起きていることです。
とは言え「パレスチナ問題について知ったとして日本人ができることが何かあるのか?」という問いに対する答えを私は持っていません。
進撃の巨人でアルミンは言いました「100年壁が壊されなかったからと言って、今日壊されない保証なんかどこにもないのに」
日本は平和が続いているように見えますが、今後日本にミサイルが撃ち込まれないという保証はどこにもありません。少なくとも世界で起きている惨劇について「無知」でいることはよくないと考えるようになりました。
そこで「イスラエル」「パレスチナ」「ハマス」といったニュースにでてくるキーワードを片っ端から調べました。思っていた以上に複雑な状況となっていて、非常にわかりにくく日本人にとって理解しにくいがわかりました。
そこで今回はイスラエルとパレスチナの問題について最近興味をもった方の目線にたち、できる限りわかりやすく解説したいと思います。
そもそもパレスチナってなんなの?
パレスチナについて調べる際、非常にわかりにくい点がいくつもでてきます。
私がわかりにくいと感じた原因について、5つ解説していきます。
パレスチナがわかりにくい原因1:いつ始まったのか、いつ終わりを迎えるのか、なんとも言えない
パレスチナが抱える問題の根源を遡ると、なんと紀元前の話になります。つまり今から3000年ほど前のお話です。
激化したきっかけは、第一次世界大戦の頃。
そして現在2021年まで続いており、このまま解決しないのではないかとも言われています。
壮大すぎて訳がわかりません。詳しくは後述します。
パレスチナがわかりにくい原因2:パレスチナはどこなのか?
パレスチナがどこなのか?
まずはざっくりこの辺りの地域(レバノンやシリア、ヨルダン、エジプトといった国に囲まれた地中海東岸あたり)と意識してください。
「ざっくりこの辺り」といったのには理由があって、パレスチナの国境が曖昧だからです。そして国境と言いましたが、国であるかも決まっていません。
出典:パレスチナ問題とは
パレスチナと呼ばれる地域はあったのですが、同じ場所にイスラエル(ユダヤ人の国)が出現し、パレスチナはどんどん小さくなっています。さらに、パレスチナは分断しています。
地図上で「ここがパレスチナ!」と断言しにくい状況なのです。
パレスチナがわかりにくい原因3:国なのか自治区なのか決まっていない
日本ではパレスチナを国と認めていません。ヨルダン川西岸とガザ地区を「パレスチナ自治区」としています。
日本だけがパレスチナを国と認めていないわけではありません。アメリカやイギリスなどの大国を含む49カ国はパレスチナを国と認めていません。
しかしロシアや中国など他の多くの国(130カ国以上)ではパレスチナを国と認めています。(2021年5月時点)
日本はなぜパレスチナを国と認めないかについて4つ理由を考察しました。
パレスチナを国と認めない理由1:土地がない
国と認められるためには「土地」「国民」「政府」の3つの条件が必要となります。
パレスチナには決められた「土地」がないから国と認めないようです
パレスチナを国と認めない理由2:聖地エルサレムをどうするか決められない
イスラエルとパレスチナの両方にとって聖地エルサレムは非常に重要な都市です。
なぜなら聖地エルサレムは、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教にとって非常に重要だからです。
イスラエルはユダヤ教の国です。
パレスチナにはイスラム教徒が人口の92%、キリスト教徒が7%を占めています。
聖地エルサレムをどちらの都市にするかは国連としても非常に難しい問題です。
イスラエルはエルサレムを首都と主張していますが、国連としてはイスラエルの首都はテルアビブとしています。
パレスチナも東エルサレムを首都と主張していますが、ラマッラ(西岸地区)が首都とされています。
このように非常にデリケートな問題ですが、アメリカの前大統領ドナルド・トランプ氏は、2018年5月14日にアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移し、事実上イスラエルの首都はエルサレムと認めるということをやってしまっています。
パレスチナを国と認めない理由3:パレスチナ政府が分裂している
パレスチナには2大政党が有力です。
一つは政治に宗教を持ち込まない世俗主義の「ファタハ」。パレスチナ政治勢力の主流派です。
もう一つがイスラム主義の「ハマス」。「イスラム原理主義ハマス」とも言われます。
2006年にこの2つの政党は軍事衝突しています。その結果、ハマスはガザ地区からファタハを追放します。
こうしてパレスチナは、西岸のファタハと、ガザのハマスに分裂しています。
ちなみにガザ地区を支配するハマスはイスラエルに対抗する手段としてロケット弾を開発・製造しています。
国と認められる3条件の一つ「政府」が、このように過激に分裂した状況では国と認めて良いか難しいと思われます。
パレスチナを国と認めない理由4:アメリカが認めていないから?
イスラエルはパレスチナを国と認めていません。
イスラエルはパレスチナの領土を自国のものにしたいと考えています。そんなイスラエルがパレスチナを国と認めるわけがありません。
そしてイスラエルはアメリカから支援されています。
トランプ前大統領はイギリス起源のプロテスタントである、ピューリタンですが、娘イヴァンカ氏はクシュナー氏との結婚の際にユダヤ教に改宗しています。
そしてトランプ前大統領は、2020年にパレスチナに条件付きで国家樹立を認める内容の新中東和平案というものを提示しました。しかしパレスチナにとって到底受け入れられないものでした⇨死に絶える中東和平と新和平案というだまし絵
アメリカはパレスチナを国家として認めていない状況にあります。
日本はアメリカに反発しません。
これは推測ですが、アメリカがパレスチナを国と認めていない以上、日本はパレスチナを国と認めないのではないでしょうか。
ちなみに日本の副防衛相 中山泰秀氏は2021年5月12日、ツイッターに「イスラエルにはテロリストから自国を守る権利があります」「私たちの心はイスラエルと共にあります」などと書き込んでいました。
パレスチナがわかりにく原因4:だれが争っているのか?パレスチナ人、イスラエル人、アラブ人、ユダヤ人の違いを知る必要がある
パレスチナ問題とは「同じ場所に自分の国を確保したいユダヤ人(ユダヤ教徒)とパレスチナ人(イスラム教徒、キリスト教徒など)の、土地を巡る争い」と言われています。
つまり「ユダヤ人」と「パレスチナ人」が争っているのですね。
ニュースでも当たり前のように「ユダヤ人」と「パレスチナ人」という単語がでてきます。
しかし、そもそもパレスチナ人、イスラエル人、アラブ人、ユダヤ人の違いがわかりますか?
私はここが一番理解できませんでした。
1、住んでいる場所や国籍で人は区別される
パレスチナ人とは、パレスチナに住んでいる人を指します。その人たちはアラブ人です。
イスラエル人とは、イスラエルに国籍をもつ人を指します。その多くはユダヤ人ですが、アラブ人もいます。
イスラエルはユダヤ人のための国家ですが、ユダヤ人だけではないということです。
2、民族(言語や文化)で区別される
アラブ人とは、アラビア語を話しアラブ文化を受容している人々です。
3、ユダヤ人かそうでないかで区別される
ユダヤ人とはざっくり言うとユダヤ教を信仰している人です。
イスラエル国内では「ユダヤ人の母から産まれた者、もしくはユダヤ教に改宗し他の宗教を一切信じない者」をユダヤ人と定義しています。
イスラエルにはユダヤ人以外の人々も住んでいますが、イスラエルで「民族自決権」を有するのはユダヤ人のみとされており、ユダヤ人かそうでないかは明確に区別されています。
さらに同じユダヤ人でも、欧米出身者を「アシュケナジム」、アジアやアフリカ出身者を「セファルディム」、オリエント出身者を「ミズラヒム」と呼んで区別しています。
ですが、そもそも信仰している宗教とはどうやって決まるのでしょうか?
ユダヤ人とは何かを考え始めると沼にはまってしまいますので、「ユダヤ人=ユダヤ教を信仰している人」とざっくり理解しておくくらいがちょうど良いと考えています。
パレスチナがわかりにくい原因5:宗教が関わってくる
日本はほとんどの人が仏教徒ですが、仏教であっても「仏教てそもそもなに?なんまいだぶつ?」くらいの理解かもしれません。
ましてや「ユダヤ教?イスラム教?なにそれ?」って感じでしょう。
ですがイスラエル、パレスチナの両者にとって聖地エルサレムは非常に重要です。
ユダヤ教にとってエルサレムは、神から約束された土地カナンです。そして、ユダヤ人の祖先であるアブラハムが神に信仰心を試された「聖なる岩」のある神聖な場所でもあります。
キリスト教にとっては、イエスが十字架にかけられた場所がエルサレムのゴルゴダの丘。
イスラム教では、メッカからエルサレムにやってきたムマンハドが聖なる岩に手をついてそこから天に昇り、天の声を聞き再び地上に戻った場所です。
聖地とは宗教にとって重要な拠点であり、イスラエル、パレスチナのどちらも譲れない場所です。
宗教を無視して彼らを理解することは不可能です。
忙しい人のためイスラエル・パレスチナ問題の全体像をざっくり解説
(わかりやすさを重視してます。一部フィクションや誇張表現が含まれている場合があります)
いまから3000年くらい前のことです。紀元前のお話になります。
神様は言いました。
神様「この場所を人間に与えよう」
この神様を信じる人たちがいました。ユダヤ人です。このユダヤ人が信じている宗教がユダヤ教です。
ユダヤ人はこの場所にエルサレムという国を作りました。
ヨーロッパやアジア、アフリカのつなぎ目にあり、地理的にとっても便利なこの場所は、他の国からたびたび攻撃を受ける事になります。
エルサレムは滅びました。ユダヤ人は、この場所を「約束の地」と呼び、いつか故郷に帰れる日を夢みて世界に散らばっていきます。
ユダヤ人が去って行った場所には、アラブ人達が住み始めます。
さて、故郷を失ったユダヤ人はどうなったでしょうか。
ユダヤ人には守ってくれる国がない為、各地で迫害を受けます。しかしユダヤ人はくじけませんでした。なぜなら神様はこんなことを言っていたからです。
神「最後に勝つのはユダヤ人だ」
この言葉を信じてユダヤ人は数千年間頑張り続け、大金持ちになる人も出てきました。
大金持ちになっても世界の人々はユダヤ人に対して厳しく、ユダヤ人は世界中でいじめられました。
そしてユダヤ人は思いました。
ユダヤ人「約束の地、故郷に帰りたい」
そして少しずつユダヤ人は故郷に帰っていきました。しかしそこには多くのアラブ人が住んでいました。
アラブ人は思いました。
アラブ人「こいつら何しにきたん?」
ユダヤ人は思いました。
ユダヤ人「ここは神様にもらった俺たちの土地だ」
ユダヤ人がエルサレムを離れたのは数千年前のこと、すでに住んでいるアラブ人にとってはよくわからない民族です。
それでも一つの場所でユダヤ人とパレスチナ人は共存していました。
しかし世界で大きな喧嘩が起きました。第一次世界大戦です。
この時、エルサレムのあった場所はオスマン帝国に支配されていました。
オスマン帝国はイギリスと戦っていました。
イギリスはオスマン帝国に勝ちたかったので、ここに住んでいたアラブ人にこう提案しました。
イギリス「アラブ人はオスマン帝国から独立すべきだよ。協力してくれたらここにアラブ人の国を作っていいよ」
しかしイギリスはお金も欲しかったので、お金持ちのユダヤ人にはこう言いました。
イギリス「お金を提供してくれたらユダヤ人が住む場所を作ってあげるよ」
ユダヤ人は自分の住む場所が欲しかったのでイギリスにお金を提供します。
ユダヤ人のお金とアラブ人の協力によってイギリスは勝ちました。
イギリスの勝利によってこの土地は国際連盟(国連)によって「イギリス委任統治領パレスチナ」となります。つまりパレスチナはイギリスのものとなりました。
出典:パレスチナ問題とは
結果パレスチナにたくさんのユダヤ人が向かうことになりました。ユダヤ人は自分の国をつくるためにアラブ人を追い出します。
元々パレスチナで暮らしていたアラブ人も、自分の国を作るためにユダヤ人と戦いました。
アラブ人とユダヤ人の争いは激化し、イギリスはパレスチナの統治を諦め、パレスチナを国連に任せます。
国連は言いました。
国連「パレスチナをユダヤ人国家とアラブ人国家に分割する」
出典:パレスチナ問題とは
しかし国連が決めた内容は、パレスチナに住んでいた多数のアラブ人に43%、新しく移住してきた少数のユダヤ人に57%の土地を与えるというものでした。
アラブ人の立場からすると納得がいきません。猛反発します。
しかしユダヤ人はお金をたくさん持っていて、世界中でできた仲間がいます。そんなユダヤ人にアラブ人が勝てるわけがありません。
ユダヤ人は戦いに勝利します。
紀元前に世界に散らばったユダヤ人たちは、1948年ユダヤ人のための国イスラエルを建国します。さらに1949年には国連への加盟も承認されます。
出典:パレスチナ問題とは
一方のパレスチナはイスラエルの侵略によりどんどん勢力が衰えます。
出典:パレスチナ問題とは
パレスチナは国であると世界に宣言していますが、イスラエルを筆頭にアメリカ、そして日本はまだパレスチナを国と認めていません。日本でパレスチナのことを「パレスチナ自治区」とか「パレスチナ自治政府」と呼んでいる理由です。
一方、世界の多くの国ではパレスチナを国と認めています。
ナクバ
イスラエルの建国記念日は、ユダヤ人にとっては民族の悲願を成し遂げたおめでたい日ですが、アラブ人にとっては住んでいた場所を追われた悲劇(アラビア語で大惨事=ナクバ)の日。
同じ出来事でも見方は全く異なります。
イスラエルのユダヤ人が通う一般的な学校で「ナクバ」について学ぶことはまずありません。
パレスチナ問題の解決はまだ遠い
2019年4月9日に行われたイスラエルの総選挙では、ネタニヤフ首相は「アラブ人にもいてもらって構わないが、この国は全ての国民のためのものではない。ユダヤ人のための国だ」とSNSに投稿しました。
票狙いとはいえ、首相自らが公然とこうしたメッセージを発信するのが今のイスラエルです。
2021年5月11日、パレスチナはイスラエルに向けてミサイル弾を発射しました。
しかし、この攻撃の前にイスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ地区を空爆しています。
イスラエル・パレスチナ問題はとても根深く複雑で、根本的な解決には長い時間がかかることが予想されます。イスラエルとパレスチナの双方が被害を受けているため、人々の感情的な対立もあるでしょう。また、国際政治のパワーバランスにも大きな影響を受けています。
しかし、両者が経済的な交流を行っていたり、イスラエル側からパレスチナ難民に対する支援が行われたりしているのもまた事実です。
2021年5月21日、ひとまず停戦となりました。今後は停戦がどこまで守られるかが焦点です。
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