【リベ大 タルムードではない?】おすすめのユダヤ民話を紹介します

雑記
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こんにちは。日本でヘブライ語を学習をはじめたにこです。

今回はリベ大の人気シリーズ タルムードについて「違うんじゃない?」と感じることがあったので記事にします。

リベ大の動画・内容が間違っていると文句をつけている訳ではありません。タルムードについて知る機会を得てとても感謝しています。

“タルムードの小話”ではなさそう

リベ大のタルムードシリーズは、石角完爾先生の著書 “ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集”から引用されて作られています。

石角完爾先生はこの他にも、ユダヤ 知的創造のルーツ~超一流を育てる不屈の精神+究極の習慣ユダヤ式Why思考法などの著書があり、この本の中でも「魔法のザクロ」「金の冠をかぶった雀」などの話を読むことができます。

さてリベ大ではタルムードに関して注意事項をかならず掲載します。

タルムードに関して、1点だけ注意点があります。聖典とみなされているのは、ヘブライ語で書かれたタルムードのみです。他言語に翻訳されたものは誤訳の可能性があるため、より詳しく・正しく学びたい場合は専門書等を通じて学んでみてください。

厳密にはヘブライ語から日本語に翻訳された時点でタルムードとは呼べないようですが、わたしが「タルムードではない?」としたのは、これとは別に2つの理由があります。

さきに私の結論を伝えておくと「リベ大で取り扱ってるタルムードシリーズってただの民話じゃない?」です。

1、タルムードの中に「金の冠をかぶった雀」などの話を見つけられなかった

わたしはタルムードを全巻所持しているわけではありませんが、「バビロニア・タルムード」の全文(英語)はインターネット上にアップされてます→「Soncino Babylonian Talmud

「金の冠をかぶった雀」などの話についての記載は見つけられませんでした。

とはいえタルムードは膨大すぎて全てに目を通せた訳ではありません、見落としや読み間違いなどは十分考えられます。

2、石角完爾先生も話の出典を書いてない。ただの小話として取り上げている

リベ大が引用している“ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集”の著者である石角完爾先生ご自身のブログで「金の冠をかぶった雀」について読むことができます⇨ユダヤと金 ~ 身分不相応な物を身につけたりするとかえって不幸が訪れるというユダヤの小話

ブログでも、“ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集”においても、「金の冠をかぶった雀」の話の出典は書かれていません「ユダヤの母親が娘に教える小話がある」と言っているだけです。タルムードでこのように取り上げている的なノリはどこにもありません。

石角先生は非常に聡明な方です。著書をよむと「〜〜の理由は〇〇にある」と根拠を挙げています。膨大な時間をかけてユダヤ教について学ばれた方であり、出典がある場合なら、例えば創世記の1章3節など具体的に指示されるはずです。それがありません。

ユダヤの母親が娘に教える小話=タルムード と言って良いのでしょうか?

タルムードは日本でいう「六法全書」「その解説書き」的なやつです。決して寓話ではありません。

ミシュナ アヴォートの第五章 21より引用(ミシュナタルムードの構成の一部。アヴォートは父祖の意味で、ミシュナの『ネズィキーン:不法行為』の一つの章。)

「彼は言っていた。五歳は聖書のため、十歳はミシュナのため、
十三歳は掟のため、十五歳はタルムードのため、十八歳は
天蓋のため、二十歳は追い求めるため、三十歳は力のため、
四十歳は理解のため、五十歳は助言のため、六十歳は老人のため、
七十歳は白髪のため、八十歳は力のため、九十歳は曲がった腰のため、
百歳はまるで死人のようになって過ぎ去り、この世から消え去る」
何が言いたいかって、タルムードってめちゃ難しいんですよ。とても幼子に向けた話ではない。幼いうちから聖書にふれて、議論に議論を重ねる習慣にいながら15歳をもってタルムードに触れているんです。
とはいえ、おもしろい記事もあります。
「人間には四つの型がある。(中略)わたしのものはわたしのもの、あなたのものもわたしのもの[と言う人]。[これは]悪人。」 アヴォート5:10
そう、ジャイアンだね!
興味がわきましたらこちらのミシュナ アヴォート編をどうぞ。

ちなみにユダヤの民話は数多くあります。

日本語で読めるものは限られていますが、岩波書店から2015年に出版されているものがあります。

それがこちら⇨お静かに、父が昼寝しております――ユダヤの民話 (岩波少年文庫)

お静かに、父が昼寝しておりますーユダヤの民話(岩波少年文庫)

お静かに、父が昼寝しております――ユダヤの民話 (岩波少年文庫)

ユニークなタイトルの書籍ですが、世界各地のユダヤの民話が32編、旧約聖書の創世記から6編が収められた民話集となっています。

一番最初のお話は「ふしぎな財布」
貧しい農夫が神さまから財布を授かった。いつも金貨が一枚入っていて、それを取り出すとまたわいてくる。でも、その金貨を使うためには、まず、その財布を川に捨てなければならない。
喜んだ農夫は、毎日一日中金貨を取り出し続け、家に食べものがなくなると隣の家から分けてもらったり物乞いをしたりして凌いでいた。
もう捨てようもう捨てようと思って川岸に立つものの、あともう少し取り出してから、と思い留まるのだった。
農夫は大金持ちとして亡くなった。家には金貨の袋が所狭しと並んでいたが、パンのかけら一つ見当たらなかった。
“ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集”やYoutubeで両学長のタルムードシリーズと違い、解説がなく、お話のみになっています。
ここから何を学ぶべきかは読者に委ねられています。
このユダヤの民話はタルムードではありません。しかし、ユダヤ人が大切にしているのは議論する精神です。
両学長の解説は非常にわかりやすく身にしみますが、簡単に結論を受け入れるのではなく、議論する力を身につけることが真髄だとすれば、こどもへの読み聞かせには解説はない方が良いのかもしれません。

そもそもタルムードとは?

これがタルムードです。このページが約12000ページにわたってあります。

wikipedia:タルムードより

日本の本ではまず見ることのない構造となっています。いったい何が書かれているのでしょうか?

タルムードについて

時はさかのぼり、紀元前1200年頃にヘブライ聖書(旧約聖書)ができます。

このヘブライ聖書とは別に口伝で語り継いできたものもありましたが、それが書籍化されます。

それが、ミシュナです。紀元200年ごろに完成しています。

このミシュナに対して解説部分がつけられます。これをゲマラと呼びます。

そして、ミシュナとゲマラをまとめて「タルムード」といいます。紀元500年ごろにほぼ完成しました。

つまりタルムードとは、「口伝えで伝わってきたこと」そして「その解説」が書かれていることになります。

ヘブライ聖書 →ミシュナー → ゲマラ → タルムードに至るまで1700年ぐらいの期間をかけて作られた本ですね。
ちなみにミシュナが書籍化された経緯にも一悶着ありました。
ユダヤ人はかつてローマ帝国によって世界各地に散らばることを余儀なくされた時期がありました。この際にユダヤ人は思いました「口伝が散逸してしまう!」と。それを危惧して書籍化に至ります。
しかし、書籍化にはめちゃくちゃ反対があったようです。
本来ユダヤ教は口伝のものであり、文字化したのでは教えのもっともたいせつな生命」が枯渇してしまう、と。

口伝するためには本文・解釈を含めて暗誦できなければなりません。

そうなると、必然的に身体にしみ込む言葉は残り、しみ込まないものは消えてゆくことになります。

文字にしないことで、意味をそこで確定させず、固定化することを許さないという意思が汲み取れます。

そんなわけで、いまでもタルムードは文字のまま読んでも意味がなく、必ず律法の導師に就いて口伝でその解釈を学ばなければならないことになっているそうです。

タルムードはいまなお更新されている

タルムード四講話 新装版

こちらの書籍は、世界ユダヤ人会議のフランス支部が1957年以降毎年パリで開催しているユダヤ人知識人会議の席で1963年から1967年にかけて講演したものを取り上げています。

この中では、「取り返しのつかぬ犯罪を赦すとはどういうことか」、「無制限に自由でありつつ、かつ他人に迷惑をかけないというのはどういうことか」、「正義と個人的な倫理基準とはどう折り合いがつくのか」などを徹底的に議論しています。

このように、ユダヤ人たちはタルムード解釈について絶え間ない論争を続けており、タルムードはこの終わりなき論争で埋め尽くされています。

この論争の目的は論争を終わらせないこと」にあります。

ユダヤ教の聖句はユダヤ人たちの論争を通じて生命を与えられるものです。これは言い換えると、最終的な解」が与えられてしまうと、聖句は死んでしまうことになります。

つまり聖句の解釈は、永遠に未決状態に保持されなければならない。

だから、教義にかかわる論争に終止符を打つための公会議」が存在せず、一人一人の解釈者が自分の実存をかけて解釈し続ける、ということです。

まとめと少しの考察

リベ大で取り扱っているタルムードシリーズは、タルムードでなくユダヤ民話なのかもしれない。

とはいえ、ユダヤ人が大切にしている精神について学ぶことができる。

ただしタルムードの本質は議論を終わらせないことにあるため、Youtubeで両学長が提示した1つの解説を丸ごと飲み込んでしまうのはタルムードの本質から外れてしまうと言える。

ひとつの解説を大切にしながら、本当にただしいのか常に疑問をもち議論し続ける精神こそ大切なのかもしれない。

取り上げた書籍

1、リベ大のタルムードシリーズの引用元

石角先生は、日本生まれで京都大学法学部を首席で卒業され国際弁護士として活躍されながら、後に超正統派のユダヤ教徒となった方です。

本人のブログでも「金の冠をかぶった雀」のお話などが掲載されています。

2、タルムードの日本語訳。ミシュナ アヴォート編

ジャイアンは悪人だったのか〜

3、お静かに、父が昼寝しておりますーユダヤの民話

世界各地に散らばったユダヤ人たちが持ち寄った民話になっています。

解説はありませんが、こどもと一緒に議論するという意味では最適と思われます。

4、タルムード四講話

タルムードを全て暗唱するレベルの知識人たちの熱い議論の一端を知ることができます。

終わりなき戦い。

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