猫は虫歯にならないという事実に隠れた大きな罠【歯石・歯周病】

豆知識
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にこ博士
にこ博士

ねこにはむし歯がないという話を聞きました

本当だとすると羨ましい限りですね

虫歯くん
虫歯くん

ねこに限らず、犬もむし歯はないんだけどね

にこ博士
にこ博士

糖分を摂る機会がある動物にはむし歯があることは報告されています

「くまのプーさん」のモデルになったクマはむし歯・歯周病のせいで歯がなくなってしまったことをまとめてます

実在した「クマのプーさん」の虫歯は蜂蜜のもらいすぎが原因だった?

虫歯くん
虫歯くん

砂糖がないとむし歯菌は活動できないんだ

にこ博士
にこ博士

猫が虫歯にならない理由をまとめました

しかし、そこに隠された罠もあったのでご紹介していきます

猫が虫歯になった例はこれまで正確に報告されたことはありません

人はいくら頑張って歯磨きをしてもむし歯になってしまうことがある一方、猫はなぜ歯磨きをしないでも虫歯にならないのでしょうか

そもそも虫歯菌がいない

人間で虫歯を起こす一番有名な口腔内細菌はミュータンス菌(streptococcus mutans)です

ミュータンス菌は最初から人間の口の中にいるわけではなく、親から赤ちゃんへ食事の口移しや食器の共有によって感染するとも言われています

猫の口の中を調べた結果ミュータンス菌が全くいないことがわかりました

犬では毎日お菓子をもらっている場合、一時的にミュータンス菌が見つかった例が報告されていますが基本的にはいません

雑食であるクマや、果物を食べるゾウ、果物を主食とするコウモリ等からは虫歯菌がみつかっているようです

もともとのむし歯を引き起こす菌がいないため、猫はむし歯にならないんですね!

ではなぜむし歯菌がいないんでしょうか?

食べ物の違い

虫歯菌は糖質が大好きです

菌が食べ物の中の糖質を発酵させると酸が発生し、その酸が歯を溶かすことで虫歯になります

日本人の主食はご飯(白米)、すなわち炭水化物です

炭水化物の中にはでんぷん質が含まれ、このでんぷん質はアミラーゼという酵素により糖へと分解されます

そのため人は食事を摂る時にはむし歯になってしまうリスクがあります

しかし猫は本来完全肉食動物で、甘い物は基本的に食べません(食べる猫もいるようですが)

また、猫の舌は甘味を感じないとも言われています

そのため猫は人と違って以下の2つの特徴があります

1、炭水化物の摂取がほとんどない

2、口内にアミラーゼが無い

そのために口の中に糖分がほとんどなく、虫歯菌が生活できない環境のようです

ただし、これはあくまで本来の食生活の猫の場合

キャットフードやおやつによっては糖類を多く含んでいたり炭水化物を主成分としたものも存在するようです

誤った食生活を続けていると虫歯菌が住みやすい環境になる可能性があります

また、むし歯とは違うメカニズムで歯を溶かす病気があるようです

それは「破歯細胞性吸収病巣」

免疫の異常によって猫の歯のエナメル質が溶け、虫歯のように歯に穴が空いた状態になってしまうものだそうです

むし歯はできないから歯のトラブルがないと安心できるわけではないんですね

歯の構造の違い

人間は、奥歯はすりつぶすために歯が隙間なく並んでいます

そのため食べカスが歯の間に入り込んでしまい虫歯菌の温床になってしまいます

しかし猫の奥歯は裂肉歯と呼ばれ「肉を引き裂く」ことを目的とした構造をとっています

そのため猫の歯は上下の裂肉歯がハサミのような働きをして肉を切断し、歯と歯の間隔が空いています

食べカスが残りにくいためむし歯菌も留まりにくいんですね

唾液のpHの違い

人間の唾液は弱酸性です

虫歯菌が酸を産生し歯の周りが酸性に傾く(pHが低くなる)と歯が溶けるので、唾液がアルカリ性だと虫歯になりにくいと言えそうです

日本獣医師会「小動物歯科診療の歴史ならびに現状と展望(||)」によると猫の口腔内はアルカリ性(pH7.5~8.5)とのことで、猫の口腔内は虫歯を作りにくそうです

とは言え、犬(pH8.0〜9.0)に比べると中性よりです

しかしながらpHがアルカリ性であるとむし歯になりにくいというメリットがある一方で、デメリットがあるようです

唾液のphがアルカリ性であることのデメリット

口腔内のpHと歯石形成速度は相関性があると考えられています

歯石というのは、食べカスが唾液の成分と反応して石のように固まったものです

人の場合、歯垢が歯石に変わるまでに約20日ほどかかります

しかし犬では約3~5日で歯垢が歯石に変化し、猫では約1週間後に歯石に変化すると言われています

いずれも人の4~5倍の歯石形成速度となっています

以上の点から歯石が形成されないうちに歯磨きを基本とした口腔内衛生管理を行うことが重要と言えそうです

むし歯にはならないことに隠された罠

確かに猫はむし歯にはならないようです

しかし、むし歯以外にも口の中にはトラブルが潜んでいます

破歯細胞性吸収病巣

免疫の異常によって猫の歯のエナメル質が溶け、虫歯のように歯に穴が空いた状態になってしまう病気です

むし歯とは別のメカニズムで歯を溶かしてしまうことがあるようです

歯周病

猫の口の中にむし歯菌はいませんが、歯周病菌は猫の口の中にもいることがわかっています

猫の口の中はpHがアルカリ性寄りのためむし歯になりにくい一方、人よりも歯石がつきやすいため歯周病の進行が心配されます

猫の歯周病の症状や兆候

猫の歯周病には以下のような症状があります

・ 口臭がある
・ 歯に歯垢や歯石が付着している
・ 食べにくそうにしている、食欲が低下している
・ 歯茎が赤く腫れていたり、歯茎から血や膿が出でいる
・ 歯がぐらつく
・ 歯が抜ける

これらの症状に気づいた時には、早めに動物病院へ連れて行きましょう

まとめ

猫に虫歯がない一番の理由は「虫歯菌がいない」から

しかし歯周病菌は猫の口の中にもいる

むし歯とは別に歯を溶かす病気もある

虫歯にならないからと言って「猫はデンタルケアをしなくて良い」という理由にはならない

猫も人と同じく定期的なデンタルケアがお勧め

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