【リベ大タルムードシリーズ】「葡萄畑と狐」はタルムードではなくミドラッシュだよって話

雑記
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こんにちは。ヘブライ語を学習しているにこです。

リベ大のおかげで急速に認知されるようになったタルムード。すごく分かりやすいし教訓的でタメになりますよね。

以前当ブログでは、リベ大がタルムードとしている話はユダヤ人の民話からきており、タルムードではないのではと考えていました⇨【リベ大 タルムードではない?】おすすめのユダヤ民話を紹介します

リベ大が参考にしている「タルムード金言集」の著者 石角完爾先生のブログにも「狐と葡萄畑」について記載がありますが、「ユダヤの格言が小話になっている」と言っておりタルムードが出典とは一言も書かれていません。⇨過ぎたるは及ばざるが如し vs たらふく食べたキツネは激痩せしないと柵を通れない。

今回、「狐と葡萄畑」に関しては出典がはっきり分かりましたので共有したいと思います。

ヘブライ語ですが絵本もありました。タイトルは「משל על שועל」で、翻訳すると「きつねについてのたとえ話」です。

(出典:https://www.pjisrael.org/book/משל-על-שועל/

これはミドラッシュ ラバのコヘレト ラバ 5:14からきています

そんなわけで「狐と葡萄畑」に関してはタルムードではありません。しかし本質的にはタルムードと同じです。

「一匹の狐が、周囲に垣(かき)をめぐらした葡萄畑を見つけて中に入ろうとしました。でも、中に入る穴が狭かったので、3日間、何も食べず、体を細(ほそ)らせました。そうしてやっと穴をくぐることができ、思う存分食べました。ところが、外へ出ようとすると、太ってしまった体が穴を通りません。しかたなく、また3日、何も食べず、体を細らせて外に出ました。」

「狐と葡萄畑」のヘブライ語原文

出典:Kohelet Rabbah Parasha 5:14

タルムードとミドラッシュって?

タルムードミドラッシュもどちらも聖書(および口伝律法)の解説本です。

タルムード

タルムードはミシュナーとゲマラからなります。ユダヤ人の間で口頭で伝わった内容をまとめたものです。

ミシュナー(Mishnah:口頭法)はモーセの律法をもとにした解答の判例集。

ゲマラ (Gemara;:解説、ミシュナーの注釈)は、パレスチナとバビロニアのユダヤ人の解説のまとめ。

つまりタルムードは問題と解説がセットになったもので、非常に学問的です。

日本で言えば、六法全書の判例集とその解説って感じでしょうか。

ミドラッシュ

ミドラッシュ(Midrash :מדרש )は、聖書をすごくわかりやすく解説したものです。教訓的な寓話や物語が多くあります。

ミドラッシュは、ヘブライ語で「探求し、研究し、調べる」の意味を持ちます。

日本で言えば、たとえば「赤信号、みんなで渡れば怖くない」ってどうなのか?やってみた結果!みたいな話が書かれてる感じでしょうか。

タルムードとミドラッシュの違い

簡単にいってしまえば「タルムード」は学者向け、「ミドラッシュ」は一般大衆向けとなっています。

さらに踏み込んだミッドラッシュ

ミドラッシュの種類

ミドラッシュは2つに分けられます。

1、ミドラシュ・ハラチャ (הֲלָכָה:法律)

トーラの法的側面に焦点を当てたもの。

2、ミドラーシュ・アグダダ(אַגָּדָה、「物語」または「伝承」)

寓話や物語を通して倫理的または神学的に取り組んだもの。

ミドラッシュには無数の作品がある

ミドラシュはたくさんの作品があります。

ミッドラッシュ・ アグダダで最大のものはミッドラッシュ・ ラバMidrash Rabbah) です。

Sefariaというサイトでは、ミドラッシュのほかにもタルムードも原文で読むことができますのでご興味のある方はどうぞ。

まとめ

・リベ大のタルムードシリーズは厳密にはタルムードではなく、ミドラッシュのようだ。

・タルムードもミドラッシュも、ユダヤ人の教えについての解説。

・タルムードは学術的、ミドラッシュは一般大衆向け。

・出典は違えど、伝えたい内容はタルムードにも書かれている。よってリベ大が間違いというわけではない。

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