こんにちは。歯科医師のにこです。
みなさん、ホワイトニングに興味はありませんか?白く輝く歯はとてもいい印象を受けますよね。
今回はホワイトニングの中でも「歯磨き粉がもつホワイトニング効果について」解説したいと思います。
まず結論から歯磨き粉では歯は白くならない
この記事では国内・国外のホワイトニング歯磨き粉では歯が白くならない理由について解説していきます。
ホワイトニングって何?
ホワイトニングとは「歯を白くすること」です。
1、歯をクリーニングして着色を落とす
2、マニュキュアを塗って白くみせること
3、歯を漂白すること
4、白い被せ物をすること
以上の全てがホワイトニングです。歯を白くする行為は全てホワイトニングです。
この中で歯本来の白さよりも白くすることができるのは、歯科医院で行われるもののみです。
患者さんが希望するホワイトニングの多くは歯の漂白にあたることが多いのですが、セルフホワイトニングやサロンで実施しているホワイトニングはあくまでクリーニングにあたります。
今回はホワイトニングの中でも、歯磨き粉でできるホワイトニングについて詳しく説明していきます。
ホワイトニング歯磨き粉とは?
ドラッグストアに行けば所狭しとホワイトニング用の歯磨き粉があります。
果たしてその歯磨き粉を使うことで歯は白くなるのでしょうか?
答えはYesでもありNoでもあります。
どういうことでしょう?
ホワイトニング歯磨き粉は「歯の着色を落とす作用」が期待できます。そのため歯本来の白さに近づけることはできます。ですが「歯本来の白さより白くすることはできません」。
言い換えると、コーヒーやお茶でできた着色をとって歯本来の白さにしたい!って方にとってはYes。
もともとの歯の白さをもっと明るい白さにしたい!って方にとってはNoということです。
これはどんな高級な歯磨き粉でもそうです。日本国内の歯みがき粉には元々の歯以上に白くする作用をもつものはありません。
あくまで着色を落とすクリーニング作用のことをホワイトニングといっているのです。
歯磨き粉のメーカーが嘘をついているわけではありませんが、期待していたものとは違うのではないでしょうか?
ホワイトニングについて再確認
では、白く輝く歯を手に入れるホワイトニングはなにを指すのか?
それは多くの場合、漂白のことと思われます。
人によっては白い被せ物のことかもしれませんが、いずれにしても歯科医院でしか行われません。
歯科医院で実施している歯の漂白には「過酸化水素」あるいは「過酸化尿素」といった過酸化物が必要です。
理屈としては過酸化物が分解する際に発生するヒドロキシラジカルやヒドロペルオキシラジカルなどのフリーラジカルが、歯の着色成分を無色化し、これによって歯が白くなるというものです。
LED照射による青い光は過酸化物の分解を促進するために使われています。
この過酸化物は薬事法で医療機器として定めてあるため、歯科医院以外の販売は禁止されています。
さらに言うと過酸化水素は危険物第6類に分類される劇物としても指定されており、歯科医院以外での使用は認められていません。
つまり歯科医院以外で行われるホワイトニングに歯を本来より白くする作用はありません。
歯科医院以外のホワイトニング:ポリリン酸について
歯科医院以外でもホワイトニングをやってるところがあります。いわゆるサロンですね。
しかし上記したように過酸化物の取り扱いは歯科医院でしかできません。
では何を使ってホワイトニングといっているのか。
それは「ポリリン酸」です。
こちらは色素分解酵素で、食品添加物としても用いられ使用制限もないため誰でもつかえるものです。
確かに色素分解効果を持っていますが、過酸化物とは違って歯の内部(象牙質)までは浸透しません。あくまで表面のみに作用しています。
よって歯科医院でのホワイトニングの後に、その維持を目的とした場合のホワイトニングとしては有効でしょう。
海外の歯磨き粉ならばどうか?
前述したように日本の歯磨き粉には漂白成分は入れられません。
ですがアメリカには漂白成分を含む歯磨き粉が市販されています。代表的なものがColgate社のOpticWhiteシリーズで、過酸化水素(hydrogen peroxide )が含まれているものがあります。
日本で購入するためには輸入する必要があります。例えばこの商品は過酸化水素が3%となっています。
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注意点としては、同じくコルゲートのホワイトニング歯磨き粉でも過酸化水素がふくまれていないものがあることです。
ではこの過酸化水素が配合された歯磨き粉を使えば、歯本来の白さよりも白い歯が手に入れられるのでしょうか?
可能性はあるかもしれませんが、難しいのではないかと考えています。
歯科医院で行うホームホワイトニングは約30%程の過酸化水素を8分間3セット必要とします。歯みがき中は唾液で濃度も薄まってしまう上、作用時間も短いと予想されます。たとえ漂白成分が配合されているとはいってもホワイトニング効果があると言えるのかは疑問です。
また、過酸化水素の濃度が高い歯磨き粉は現実的ではありません。なぜなら歯および歯肉への悪影響が危惧されるからです。
アメリカ人と日本人とでは歯の構造が異なっていて、日本人の歯はエナメル質が薄いため知覚過敏になりやすいのです。
結論として過酸化水素を含んだ歯磨き粉の使用はあまりおすすめできません。
ではどう言う風にホワイトニングすれば良いのか
歯科医院でホワイトニングのカウンセリングをうける。
現実的にはこれが唯一の方法となっています。
世間に溢れたホワイトニング商品について
上記のように歯磨き粉では「歯本来の白さより白くすること」は難しいのが現状です。
しかし知覚過敏などのリスクを背負えばホワイトニング効果が得られる商品がありました。
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このシートタイプのものには、しっかり過酸化水素が含まれています。歯の漂白効果も期待できます。
しかし、自分の歯に使っても大丈夫と判断はできますか?例えばむし歯があればめちゃくちゃしみて痛いでしょうし、歯の神経が死んでいたり、被せ物をしている場合はホワイトニング効果は薄いです。また、適切に使用しなければ粘膜が傷つくリスクもあります。
さらに言えば、本当にこの商品に過酸化水素が配合されているかどうか見分けがつくでしょうか?
確実にホワイトニング効果を得たいのであれば歯科医院にいきましょう。
まとめ
1、ホワイトニングは歯を白くする行為全般をいう
2、日本のホワイトニング歯磨き粉の効果は着色を落とすことをいう
3、歯を白く漂白するには過酸化物が必要で、これは歯科医院でないと扱いができない
4、美容院やサロンでのホワイトニングは「ポリリン酸」を使ってる。これは歯の内部までは浸透しないが、表面の漂白には効果がある
5、海外の歯磨き粉の一部には過酸化水素を配合したものがある。ある程度の漂白は期待できなくはないが、効果のほどは不明。
6、過酸化水素の配合された歯みがき粉は自分で探す必要がある
7、自分の求めるホワイトニングが何かを知る
以上です。
今後もお口の健康に役立つ情報を発信していきます。
よろしくお願いします。
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