【劇場版メイドインアビス 】深き魂の黎明を原作と比較しながら楽しむ(前半)

メイドインアビス
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はじめに

本記事はメイドインアビスのネタバレを多分に含んでいます。具体的には原作4巻〜5巻相当のネタバレになります。

「原作ネタバレがOKな方」、「映画をすでに視聴した方」「映画を観る予定がない方」に向けた記事となります。

この記事は前半パートです。

目次

「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」の視聴で注意したいこと

アニメ「メイドインアビス」の続編映画。あらすじ説明などがない。

2020年01月17日(金)公開された、つくしあきひとの同名コミックを原作とするテレビアニメ「メイドインアビス」の劇場版です。

テレビアニメ版あるいは劇場版総集編は、原作の1~4巻冒頭に該当します。そして劇場版『深き魂の黎明』は完全な続編です。「キャラ紹介」「あらすじ紹介」などは一切なく、ナナチが仲間に加わり「深層四層 不屈の花園」に降り立ったところから始まります。

メイドインアビスを初めて見る方が楽しめる作りはされていません。

R15+指定となっている

こちらの映画はR15+であり相応の覚悟が必要です。

具体的には子どもが拷問されるシーンおよび解剖されるシーンなど鮮明に描かれています

不愉快に思われる方はご注意ください。

「深き魂の黎明」を原作と比較しながら見る

深き魂の黎明は、わずかなセリフの変更およびカット、シーンが前後することもありますが基本的に原作に忠実に再現されており、クオリティーは非常に高いです。

冒頭(ナナチアジトから不屈の花園へ)

ナナチの移動シーンから始まります。ナナチアジトから不屈の花園へ至る経緯を描いてあります。劇場版オリジナルの描写です。

引用:メイドインアビス4巻

不屈の花園へ到着

引用:メイドインアビス4巻

「ライザのお気に入り」でもある不屈の花園へ到着します。

開けた視界一面にトコシエコウが広がる高原を、劇場版ならではの上質な作画と色彩で描かれていました。色がつくことで美しさが際立ちます。

ナナチ、レグ、リコの3人はそれぞれの見え方の違いを完璧に描写

三人はみな同じ景色を見ていますがそれぞれ見え方が違います。

ナナチは「力場」という我々には見えないものを。オーラのように立ち上っていて、原作よりもわかりやすい表現になっています。

レグは視力の良さを。カメラのズーム機能のように視界を拡大していく描写がありました。原作では、リコの望遠鏡の機能かと思いましたが、劇場版ではレグの視点でした。

リコは知識ゆえの景色を。クオンガタリがトコシエコウに擬態していることを看破しました。これはナナチには見えていない景色です。

完璧に擬態しているクオンガタリ

引用:メイドインアビス4巻

リコが気づくことができたクオンガタリですが、その生態も隠さずに描かれていました。

死体の目の奥でうごめく幼虫、生き餌を生かすために自ら食べられるクオンガタリの様子などです。

引用:メイドインアビス4巻

引用:メイドインアビス4巻

クオンガタリは「カサっ」と動きます。原作よりも鮮明に描かれているため、はっきりいって気分は最悪です。

その後は「合図」によって花畑一帯を燃やし尽くします。

「合図」の時に警告音のようなものが鳴っていました。これは原作ではありませんでした。

原作と違うところ

・ナナチの心情は一部カット

「目で暴けない監視がある以上、見える範囲にいる今のうちなら」という考えのもと「レグ すまねえ 情報が欲しい」という流れはカットされている。

・ライザの手記は一部省略

他の層に移動したらトコシエコウだらけの現環境はメチャクチャにされるんじゃないかという考察は省略されていた。

・アンブラハンズを三人消費していること(無尽槌を見つけたものも既にいない)

・クオンガタリの成体は食料にも向くというセリフはカット

・アンブラハンズと月笛の通信(時間までに戻れず探窟家ごと焼却している)

・ナナチの反省はカット(ナナチの目はなんでも見えるわけではなかった。休眠と擬態、力場の操作など弱点を吐露していた)

・劇場版オリジナルのナレーションが加わっている

「この旅の果てに 何があるのか 今はまだ分からない。この道の先に何かあるのか 今はまだ分からない。今分かっていることはたった一つ。この深淵の奥底で 誰が待っているのかということ。それが何者であれ 進まねばならない。もっとも暗い闇を越えなければ 夜明けはやってこないのだから」

霜の稜線での原作との違い

・ナナチの息が白くなっていることが描かれており、外気が寒いことがよりわかりやすくなっていました。リコも厚着になっています。

・ナナチがボンボルドとの遭遇は避けられないと心配する理由(アビスから命を得て蘇った白笛の子供、呪いを一切受けない自立する機械人形)はカット

美しい光景

引用:メイドインアビス4巻

劇場版のサントラのジャケット絵となるほど美しい光景でした。色彩がおみごとです。

・ハマシラマのゲテモノ感がやばい

引用:メイドインアビス4巻

原作絵でも十分にまずそうだが、劇場版では一層まずそうでした。見た目、鳴き声、うごき。すべてまずそうです。体積の倍でてくるヌメリは黄緑色です。

ナナチの「んな・・・ んなんなぁぁぁ・・・」は必聴です。

ナナチのミーティへの思いを語るシーン

ナナチ「オイラの心の持ちようの話だよ」のセリフはカットされていた

前線基地(イドフロント)に到着

静止画ではリコのセリフのみでしたが「あの建物 ゆっくり回ってるよ」というのが見た目でわかります。アニメの強みですね〜。

引用:メイドインアビス4巻

レグが「僕もあそこから登ってきたのだろうか・・・」という疑問に対して、ナナチが「お前は幾らでも息止められるじゃねえか 泳いできたんだろ」というセリフはカット。

プルシュカ初登場シーンの印象の違い

原作はすぐにプルシュカが登場する。強気な態度であり、原作だと威圧的な印象を受ける。後の回想シーンで、実はこの前から望遠鏡で観察していたことを描いている。

引用:メイドインアビス4巻

しかし劇場版では「望遠鏡で観察してた様子」を先に描き、プルシュカが「強気にいかなきゃ」と心情を暴露している。

引用:メイドインアビス4巻

この変更によって、視聴者の目線ではプルシュカが強気を装いつつリコ達に接していることがわかるため、プルシュカに寄り添った描写だと言える。

ボンドルド登場シーンの威圧感

ボンドルド登場シーン

引用:メイドインアビス4巻

原作では背景が暗く、重厚感がある。

それに対して劇場版では重い音楽とボンボルドの動きをスローに見せることで押しつぶされそうな空気を出していた。

プルシュカがリコ達を部屋に案内しにいった後に、ボンボルドとアンブラハンズの無言のアップされる描写は劇場版オリジナルである。ボンボルドの正体不明性、不気味さをうまく表現していたと感じる。

プルシュカの案内

階段について

原作では「あの階段は登っちゃだめ 上昇負荷がかかるから・・・あたしだって登ったこと無いんだから」と言っていた。

引用:メイドインアビス4巻

劇場版では「あたしだって登ったこと無いんだから」はカットされていた。

行動食4号

引用:メイドインアビス4巻

噛んだ時にはめちゃくちゃ硬そうな音がなっていた。壁の味は想像がつかない。

リコの冒険譚はこのタイミング

原作と構成の違いのひとつ。

リコがプルシュカに冒険譚を聞かせるシーンはこのタイミング

原作では、後のプルシュカの回想シーンで見ることになるが、会話の流れとしては劇場版のほうが自然。

引用:メイドインアビス4巻

レグの兜

眠るリコにふとんをかけてあげるシーンは劇場版オリジナル。

レグの兜に浮かぶ模様の動きはアニメ特有でかっこいい。

引用:メイドインアビス4巻

火葬砲について「不死のミーティを解き放てたほどの・・・」はカット。

劇場版のオリジナル:ナナチとボンボルドの対面

原作でナナチは「先に進む手段もなし いざヤバくなっても手段が乏しい なんとかこいつらを行かせられねえか?」と考えていた。

劇場版でその心情描写はカットされていたが、その分、人間だったころのミーティが「大丈夫だよ」といっている絵と、ナナチとボンボルドが一対一で対面するシーンが加わった。

〜オリジナルの会話〜

ボンボルド「やはりあなたは あなたたちは アビスの驚異が生んだ奇跡なのです 戻ってきてくれて本当に嬉しい」

ナナチ「ボンボルド 話があるんだ」

ボンボルド「わたしもです 二人でゆっくり話しましょう」

リコ目を覚ます

原作の方がリコの恐怖心は強く描かれているように思えた。というのも原作では場面が暗めであり、孤独感が強い。しかし劇場版では絵が明るい。そのため恐怖感は薄くなっているように感じた。

引用:メイドインアビス4巻

ここ ほんとにトイレなの・・・?はカット

じつはプルシュカが「ここ トイレ」と案内していた場所は、原作では廃棄槽と書かれている。引用:メイドインアビス4巻

5層の上昇負荷

劇場版では5層の上昇負荷についての説明は省略している。原作では「全感覚の喪失 意識混濁と自傷行為 4層の時の痛いって感じじゃないのかな」と理解した上で恐怖している。

引用:メイドインアビス4巻

プルシュカによる五層の呪いの例え話もカット。わかりやすいんだけどね。

引用:メイドインアビス4巻

ナナチとボンドルドの会話

ボンボルドの家族観、愛について語る場面

真理をついたようなことを語るボンボルドに対し、よくもその狭い隙間からでけえもんはけたもんだぜと悪態をつくナナチ

原作準拠です。

他の白笛についての情報などはカット

情報としてはかなり重要だが、映画としては蛇足か。

カットされた情報は

・神秘卿は届け出も出さず 六層へ降りてしまいました

・先導卿のご老人は自らの遺物を使って六層へ侵入したそうです もちろん届け出は出さず

・乱暴で勝手な方たち

・ラストダイブを管理するための前線基地でもあるが 白笛達をこんなもので止められるとは思えない

・ナナチは、白笛が助けとなることを期待したが、その望みはないことを知る

・ボンボルドは他の白笛がラストダイブしたことを、研究に支障が出るので報告をだしていない

・あの方達は生きて戻る術はない 我々とは違って

階段をのぼるリコ達が差し込まれる

原作ではレグの解剖へと進むが、劇場版ではリコとプルシュカが協力して階段を登るシーンがはいる

勧誘するボンボルドと承諾するナナチ

原作どおり、リコとレグが手を差し伸ばしている絵、ミーティの成れ果て前後の回想がある。とても美しい水彩画のような回想。

これらの回想シーンは美しくはありますが、ボンボルドの提案から承諾、そして条件提示までのナナチの感情描写は原作のほうが出ているように思いました。

解剖されるレグ

腕の切断から失禁まできっちりと描かれている。

このときレグは「声も出ない」状況だったのだが、原作の言葉にならない悲鳴を完全に再現している

引用:メイドインアビス4巻

ちなみにアンブラハンズの「精神があるなら 試せるか?」「危険だ 教育がいる」はカット

プルシュカの「その子・・・リコの友達なんだぞ」もカット

ナナチの考えは結構カットされてる

・アンブラハンズが妙にすっとろい事と疑問に感じたこともカット

引用:メイドインアビス4巻

・リコの「命の秘密」についても奴らは知っているだろうから、リコも危ないだろうと予測していることもカット

・レグの手を直す方法はあるのか・・・?と疑問に思っていることもカット

・リコはプルシュカも連れて行こうとしていた。しかしナナチは「おい そいつは・・・」と否定的だった。とはいえ、後に「・・・・わかったよ プルシュカ どーしたいかはお前が決めな」とプルシュカに託している。

そしてプルシュカは残ることにした。

プルシュカとボンボルドの会話

原作では後にプルシュカの回想として描かれるが、劇場版ではここで挿入されている。

原作での回想シーンは、劇場版では基本的に時系列に並べてある。

引用:メイドインアビス4巻

カッショウガシラのコロニー

原作ではリコがライザからの封書を読んで得た知識によってカッショウガシラのコロニーにボンボルドを誘い込む罠を仕掛けた。

劇場版では、ライザの封書をナレーションしながらアンブラハンズがカッショウガシラに捕食されるところをアニメーションで描く。

さらに劇場版が素晴らしいのは原作のこの絵の魅せ方だ。

引用:メイドインアビス4巻

ボンドルドの周りをカッショウガシラが動き回り、対照的にボンボルドたちは静止している。カメラアクションがとても良かった。

ちょこっとカット

・カッショウガシラがみんな食べてるところをリコが見ていること

・リコのメガネがちょっと曲がっていること

・レグの血が金属みたいに固まってること

・切られた腕について、レグを作った誰かにくっつけてもらおうとリコは考えていること。

ボンボルドが成した偉業の説明は原作のみ

原作ではボンボルドの怪物性についてハボさんが説明していた。

ハボさんの説明

・10年そこいらで誰もなし得なかったことを次々とやってのけた

・不可侵のルートを開拓

・深層でも活動できる拠点を確保

・停滞していた探窟技術を二つ飛びで押し進めた

・穴を埋め尽くすほど羽虫の群れの発生を退治

・そのやり方が前代未聞

・深層の遺物や情報の独断での横流し

・人体実験、発見した薬品で巨大な外資を得て、それを基盤に開発

・羽虫の発生源が水と判明すれば猛毒を流した

・ルート確保に邪魔な動植物に火を放つ

・周囲に誰がいようがお構いなし

・周辺環境ごと根絶やし

・良き伝統も探窟家の誇りも丸ごと踏み躙って夜明けをもたらす まさに黎明卿

・海外じゃ罪状不明の指名手配

・懸賞金目当てに近づいた連中も数知れずだが 皆行方しれず

・ハボさんの印象「得体の知れない何かが 仮面被ってヒトの真似事をしている 奈落に怪物がいるとするなら おそらくああ言うのを言うんだ」

上記のことは劇場版ではカットされている。

原作絵のほうがボンボルドが強そうに見える

劇場版よりも原作絵のほうがボンボルドの強さを表現できているように見えた。

引用:メイドインアビス4巻

原作ではカッショウガシラの群れを八つ裂きにしているところが描かれているが、劇場版ではコロニーが爆発しただけのようだった。

あと原作ではアンブラハンズを1体持ち帰っている。

ちなみにスパラグモスの出処をリコは「あの仮面から出るんだと思ってた」と言ってるがカットされている。

ナナチの疑問「レグがやられた時は手下しかいなかったな・・・ 手下に預けていたのか・・・?それとも複数個あるのか・・・」もカット

ナナチの視覚の覗き見について「ナナチが監視の目を見つけられなかったのって・・・」「んなぁーオイラ自身の目だったからさ」もカット

ボンボルド戦 第一ラウンド

戦闘シーンはアニメだと特に映える・・・!

原作絵も躍動感があっていいのですが、アクションはアニメーションの見せ場ですね。

引用:メイドインアビス4巻

リコ、ナナチ、レグの三人による作戦で見事ボンボルドを打ち破るが・・・

ボンボルドの尻尾が明確に描写されている

体を取り替えるシーン。劇場版では仮面を付け替えた後に明確に尻尾が生えます。

原作では尻尾が生えてくる描写は見られない。

引用:メイドインアビス4巻

原作者のつくしあきひと先生はインタビューにてこのように回答されています。

ボンドルドが入れ替わるシーンは、原作ではページが足りなかったんですけど、今回の劇場版では僕からお願いして、顔の描写やボンドルドの尻尾の表現までしっかり描いてもらっています。引用:【特別座談会】劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』公開記念!つくしあきひと×富田美憂×伊瀬茉莉也×井澤詩織 インタビュー!

ボンボルド自己紹介

ボンドルドが自己紹介をするシーンは原作絵のほうが威圧感がある。

引用:メイドインアビス4巻

劇場版では明るいためか、不気味さが薄れてしまっていた。不穏さは原作のほうが圧倒的に表現されています。

しかし、その後ボンボルドがレグを尻尾で撃退し、リコに呪い針をうち圧倒するアクションは劇場版のほうがわかりやすい。

原作と劇場版それぞれに良いところがあって、まったく度し難い。

紅(あか)を付けたものは全て破棄

「赤を付けたものは破棄」のシーンは、劇場版によって色がつくことでよりえげつなくなっていた。

引用:メイドインアビス4巻

原作4巻はここで終わる。

原作未読の方は是非

 

 

 

後半へ続く。

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