こんにちは。歯科医師のにこです。
今回はYoutuberラファエルが出資しており、SNSで注目を集めた「デンタルラバー スーパーホワイトLV」について解説します。
「デンタルラバー スーパーホワイトLV」は発売開始後2ヶ月で10,000台を受注したセルフホワイトニング商品です。
今回の記事のテーマは「セルフホワイトニングに関する闇」です。
(出典:デンタルラバー公式HPより)
こんな方向けの記事です
歯科医師のわたしがセルフホワイトニングビジネスについて解説します。
ぜひ正しい知識を身につけていってくださいね。
ラファエル推奨|デンタルラバー スーパーホワイトLVとは?
ラファエルのInstagramでデンタルラバーについて投稿しています。
上記のようにラファエル推奨のセルフホワイトニング商品です。
発端は2020年4月5日にラファエルが「【マネーの虎】資産3000億の投資家集合!吠える虎達!【ラファエル】」という動画で、ある歯科医師がセルフホワイトニングビジネスについてプレゼンしラファエル等の出資を得たところから始まります。
プレゼンした歯科医師のデンタルラバーのホワイトニング効果についての説明
【マネーの虎】資産3000億の投資家集合!吠える虎達!【ラファエル】の動画内でプレゼンしていた歯科医師の方が、既存の歯医者さんとのホワイトニングの違いについて説明していたので抜粋します。
ホワイトニングに関しては、歯医者さんで使える材料として過酸化水素ってものがあります。あと過酸化尿素ってものがあるんですけれども、この過酸化物を歯の漂白に使うのは歯科医院以外でやっちゃいけない。ですので、デンタルラボのホワイトニングは過酸化物は使いません。代わりに特殊な薬剤と、紫外線を発生するLEDを利用して歯を白くする。
このように説明されていました。実際、一定のホワイトニング効果は得られると思います。
デンタルラバーの問題点
まず第一にデンタルラバーにセルフホワイトニング効果はあります。ただし歯を本来以上の白さにはできません。
マーケティングの問題:ヤマダデンキの黒歴史
2020年4月5日 “時給日本一のYouTuber”ラファエルが「【マネーの虎】資産3000億の投資家集合!吠える虎達!【ラファエル】」と題した動画を公開し、とある歯科医師が「歯のホワイトニング事業」について出資を受ける権利を獲得しました
2020年11月15日にラファエルがtwitterにて『世界で1番効果が良く、何処よりも安く、1週間で1番歯を白く出来る!』と宣伝しています。
上記のようにヤマダデンキの広告には問題がありましたが、デンタルラバーは月7億の売り上げを達成したようです
HPの広告内容:医療関係者が選ぶランキングで3部門1位とは?
3部門で1位となっていますが、リサーチに信憑性がありません。調査機関(期間の間違いでしょう)がわずか1日です。
そもそも「医療関係者が選ぶ」ということに問題があります。まともな医療関係者ならばセルフホワイトニングはただのクリーニングと認識しているため、そもそもセルフホワイトニングが必要ないと考えるでしょうし、他社と比較する必要もないと思います。
ホワイトニング効果の問題:特殊な薬剤と紫外線を発生するLEDで歯を白くする?
確かにデンタルラバーには特殊な薬剤とLED照射(ブラッシング併用)によってホワイトニング効果はあります。
広義の意味でのホワイトニングとは?
実は歯が白くなる効果があれば全てホワイトニングと言えます。
しかし歯科医院で行うホワイトニング以外は全て歯本来の白さより白くすることはできません
それに対して歯科医院で行うホワイトニングは「歯本来の白さより白くする」ことができます。
ですので歯科医院で行われるホワイトニングを狭義のホワイトニング、それ以外の歯を白くするホワイトニングを広義のホワイトニングとしています。
紛らわしいですよね。
ですので、デンタルラバーのホワイトニング効果を、ただ着色を落とすだけと正しく認識している方は使用されて良いかと考えております(コスパは悪いですけど)
誤解しやすい記載:LED光照射は歯科医院でやってるものと効果が全く違う
歯科医院で行うホワイトニングでもLED照射を行います。そしてセルフホワイトニングでも同じく青い光照射がされますが、やってることは全く別です。
この青い光も「あたかも歯科医院のホワイトニングのように歯を白くする」ような錯覚を起こす一助になっているのではと考えています。
歯科医院でのLED照射
過酸化水素を分解することを目的としています
やや専門的になりますが過酸化水素が分解されてできた物質が
1、歯の着色を無色化する
2、歯の表面のエナメル質と呼ばれる構造を変化させ、白く見せる
上記の作用をもつことで歯の本来以上に白くすることを可能にしています
セルフホワイトニングでのLED照射
酸化チタンと反応させます。
1、歯の表面の着色がとれます
歯の本来の白さ以上は望めません。
歯科医院とセルフホワイトニングのLED照射の違いのまとめ
インフルエンサービジネスの問題
影響力の強い方が宣伝を行えば「もの」は売れるようになっています。「もの」の良し悪しは巧みに隠されています。
ビジネスと割り切ってしまえば経済が回るという意味では良いことでしょう。
ただ消費者はセルフホワイトニングの限界について正しく理解した上で購入できているのでしょうか?
もしホワイトニングという言葉ではなく「クリーニング」と言っていたら、このセルフホワイトニング装置は月7億円も売れたのでしょうか?
今回の発端者は歯医者です。ビジネスと割り切ってしまえばそれまでですが、医療者である以上は正しい知識を普及することに力を注ぎたいと考えています。
セルフホワイトニングの限界を再確認しよう
ホワイトニング商品は巷に溢れています。
例えばホワイトニング歯磨き粉についてです。これらの歯磨き粉は「歯そのものを白くする効果」はありません。
海外の一部の歯磨き粉には過酸化水素が含まれるものがありますが、それでさえも効果があるかは不明です。
あくまで着色が落ちて歯が白くなれば「歯が白くなる」と効能を謳ってよいのです。
詐欺とは言えないのです。消費者が正しい知識を身につけ自己防衛するしかありません。
セルフホワイトニングの問題点
確かにセルフホワイトニングには歯を白くする効果があります。
では何が問題なのでしょうか?
1、ホワイトニングという言葉の曖昧さ
歯が白くなる行為はすべてホワイトニングと言って良いのが現状です。
「歯そのものを白くすること」=「ホワイトニング」と定義してしまえば曖昧さは回避できるはずで、この問題は以前から言われていましたが、解消には至りません。
2、LED照射について説明がない
口腔ケアグッズに青い光の機能が付属していたりします。
歯科医院でも青い光によってホワイトニングが実施されています。
ただし、この青い光自体は歯を白くする効果はありません。
作用させている物質が、歯科医院とセルフホワイトニングでは違い、この違いによって効果に差が出ます。
セルフホワイトニングビジネスについて歯科医の思うところ
・ホワイトニングという曖昧さ
・特徴的な青いLED照射
上記を利用した「情弱」狙いのビジネスがセルフホワイトニングではないでしょうか?
消費者の求める「ホワイトニング」と実際に提供されている「ホワイトニング」は違うのではないかと疑わざるを得ません。
歯科医院の経営上でも、セルフホワイトニングやサロンでのホワイトニングをいくらやっても歯が本来以上に白くなることはありえないため、歯を本当に白くしたといった需要が減るわけではないため問題はありません。
情弱ビジネスと言わざるを得ない広告形態に本当に医療人がやることなのかと憤りを覚えます。
デンタルラバーをおすすめの人
・ラファエル氏を応援したい方
・ホワイトニング事業を拡大する歯科医師を応援したい方
・セルフホワイトニングに興味がある方
上記のような方にはおすすめできます。ただしデンタルラバーの利用を続けたとしても「歯が本来の歯より白くなることはない」という事実は理解してください。
まとめ
最後に日本審美歯科学会から注意喚起を貼っておきます
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