はじめに
WEBコミックガンマにて連載中の漫画「メイドインアビス」を1話ずつ考察する試みです。ネタバレ考察は極力除外しておりますが、気になる方はご注意ください。
前回はハローアビス06 予兆を考察しました。今回はハローアビス07 出発前夜を徹底考察していきます。
webコミックガンマの公式サイトにてメイドインアビス第1話、2話および最新話が無料で見れます。ぜひ一緒に考察しましょう!
ハローアビス07 出発前夜 あらすじ
初めての探窟でもレグの記憶は戻らなかった。レグは『自分が一体何者なのか』を知りたい気持ちが抑えられなくなってしまう。
その日の夜、リコは明日の夜明け前に出発すると宣言する。レグはリコに奈落の底までついていくと言う。そんな二人にシギーは「奈落見取図」でアビスの危険性を教える。しかしリコはアビスの危険性を聞くほどにますます『その気』になっていく。なにを言ってもアビスへ向かおうとするリコに対し、ナットは声を荒げ『お前の母ちゃん とっくに死んでんだよ!』と言ってしまう。
リコはナットに何も言い返さず、その場を去ってしまう。
ハローアビス07 出発前夜 を徹底解剖
各ページ毎に考察していきます。
1ページ目:
初めての探窟からの帰り道
レグの記憶は戻らないまま
レグは、探窟にでること(アビスに潜ること)で記憶が戻ることに期待していたが、そうはならなかった。
レグは記憶を取り戻したいと考えていて、そのための手がかりを探している。
現時点で最も有力なのは、ライザからの封書にあった『ヒトガタの影』であろう。
レグの気持ちはアビスの底へと向かっている。
2ページ目:
『アビスの呪い』にかかるナットと、平気なレグ。
レグはアビスの呪いはかからない?
深界1層の上昇負荷ではレグにはなんの異常も来さなかった。
今後さらに深層ではどうなるのだろうか?より深い層ではレグにも『呪い』が効く可能性はあるだろうか?
『呪い』は何に作用しているのだろうか?
3ページ目:
遺物の鑑定
『なんといいかげんな』と感想を抱くレグ
『疑問』にとりつかれるレグ
鑑定人の顔が厳ついのと言葉遣いが江戸っ子?っぽい
唇に傷痕?のようにも見える。
遺物の鑑定をするということは、遺物に対する知識も深いのだろう。
根拠はない推測だが元・探窟家ではないだろうか。
言葉遣いが荒っぽい?ところはナットと似ている気もする。南区出身と予想。
どこの赤笛だぁ?
鑑定を依頼するレグに対し、鑑定人は「ボウズ初めてか?どこの赤笛だぁ?」と尋ねている。
それに対してナットは「レグはオレと同じベルチェロ孤児院だぜ」と答えている。
以上から、鑑定人とナットは顔馴染みの可能性がある。単にナットが鑑定をよくお願いしているだけかもしれない。
また、赤笛の所属もいろいろありそうだ。
ベルチェロ孤児院の他にも孤児院があるのか、それとも孤児院とは別に探窟家の養成所があるのだろうか?
いいかげんな鑑定
レグが「鑑定がいいかげん」と思った理由を考えた。
1、鑑定人の鑑定スキルが高いため瞬時に性格に鑑定できるが、あまりにも早いためレグからすると雑に見えただけ
2、ほんとうに雑に鑑定していた。赤笛の掘り出した遺物にレアなものはなく、似た遺物しかでないのだろう。遺物をチラ見しているだけで、拡大鏡もつけていない。おそらく雑な鑑定なのだろう。
また、鑑定人の目をもってしてもレグがオーバードとは気づいた様子はない。レグが遺物のひとつと決まったわけではないが、見た目は完璧に『人間』なのだろう。
4ページ目:
好奇心があふれだすレグ
リコと同様に、オースでの生活は離れがたいが『いてもたってもいられなく』なっている。
おっぱい石
いてもたってもいられない
冷静に考えればアビスへ向かうには記憶が回復するのを待つべきである。
その間、アビスについての知識を深めるなりサバイバル能力を高めるなりすべきだ。
しかし、『どうしようもなく』好奇心がとめられなくなってしまっている。
これからリコとレグは未熟なままアビスへ向かうが、未熟であるまま向かった理由はこれであろう。
おっぱい石(姫乳房)
鑑定人が「珍しいな」と言っている。それなりにちゃんと鑑定していたようだ。
姫乳房=おっぱい石
石ということは鉄鋼物のかたまりということでしょうか?
おっぱいと同じ柔らかさということですが、現代で世界で一番やわらかい石といわれるのは『滑石』です。これは石の硬度の指標となるモース高度の基準となり1となる鉱石です。そうはいっても滑石がおっぱいのように形をかえることはありません。
なぜ石と呼ばれているかは考察の余地があるのかもしれませんが、思い至りませんでした。
ちなみに同じ柔らかさと聞いてリコの胸の感触を思い浮かべてるレグ。この様子からリコはノーブラであることと、レグは抱きつかれた時に、おっぱいの感触を感じていたということがわかってしまいました。
5ページ目:
昨日の会合の続きが始まるが顔をあわせようとしないナット
明日の夜明け前に出発することを決めたリコ
レグがリコについていくことを決める
それぞれの子どもたちの思い その1
昨日の夜時点での5人の考えをまとめておく。
昨日の夜
リコ:アビスの底へ行く。みんなには協力してほしい。レグに関しては何も言わず。
ナット:反対。理由は、2度とみんなに会えなくなる。まだ赤笛だし、まだ12歳だ。
シギー:中立?リコの計画を具体的に聞こうとする。
レグ:不明。話を聞いていただけ。
キユイ:不明。眠っていただけ。
6ページ目:
レグもリコと一緒に奈落の底まで行くことを表明。
喜ぶリコ。予想がはずれるシギー。ちょっかいを出すナット。
レグ自身がアビスへ向かう決心をした。
レグの決意
レグが自分自身で考え決定したことは、『自分が何者なのか知るため』に行くこと。
完全に自立している。
7ページ目:
レグの断固たる決意
リコの本心
レグを見つけたのはリコ
リコの白馬の王子様となるレグ
リコとレグの関係
1巻2話で、リコが謎の光によってベニクチナワから助かった時、リコは「白馬の王子様てきな?」と妄想していた。
王子様かは微妙だが、レグはリコを守る騎士となったと言えそうだ。
8ページ目:
超よろこんでいるリコと、ぶす〜っとするナット。キユイは眠ったまま。
シギーはレグの知識を確認する
レグの現状のアビスに対する知識(読者と同程度)
アビス攻略の算段
レグが孤児院で教わったこと
それぞれの子どもたちの思い その2
いまの5人の考えをまとめておく。
いまの子どもたちの考え
リコ:アビスの底へ行く。明日の朝に出発する。レグに一緒に来てほしかったが言い出せずにいた。レグが自分の意思で付いてきてくれることを聞きとても嬉しい。
ナット:反対。レグも自分自身の意思でアビスへ行くことを決めたことを知り、不貞腐れる。昨日の夜には言っていない本音がある。
シギー:中立?。リコは止めても行くことを危惧しており、せめてアビスについての情報を提供する。
レグ:賛成。自分の意思でついていくことを決めた。みんなと離れるのも寂しいが、好奇心には勝てなかった。一度登りきっているし、記憶はもどらなくても頑丈な体でなんとかなる。
キユイ:不明のまま。眠っている。
鈴つきが習うこと
文字や算数がほとんど
アビスに関しては深度150メートル前後のとこだけ
レグの想定 その1
レグの想定は、われわれ読者と同じ目線の高さにある。
『奈落の底』までに何があるか?と問われると、危険な生物、遺物、アビスの呪いくらいしかわからない。
降りるだけなら、危険生物だけ気をつけておけば良いのかなと考えてしまう。
9ページ目:
レグの想定を甘いと一刀両断するシギー
伸びる腕
レグならではのルート。目を輝かせるリコ。
レグの想定 その2
レグの体は相当頑丈にできている。腕は40メートルは伸びる。だからこそ、ヒトに真似できないルートを選ぶことができる。
アビスを知らなくてもリコを守りながら潜れるだろう。
10ページ目:
レグが頑丈で腕が40メートル伸びても、それでもアビスは危険。
顔を合わせなかったナットと眠っていたキユイも興味をひくもの
ようやくアビスの全体像が開示される
1巻6話まで話の中心にはアビスがあったのに、アビスの全体像がでてくるのは今回が初めてとなる。
11ページ目:
リコのために院長室に忍び込み『奈落見取り図』を勝手に持ち出したシギー
5人全員が注目
孤児院の子どもたち全員が興味津々となる
リコたちがアビスの底を目指すことに反対していたナット、そしてこれまでは眠っていたキユイですら『奈落見取図』を凝視する。
全員アビスに興味津々なのだろう。
12ページ目:
アビスの『今の姿』
アビスと、世界一深い人工の穴を比べてみる
奈落の底は20000m以上となっている。
世界一深い人工の穴は、ロシア北西部、ノルウェーとの国境近くにある「コラ半島」に、地表からの深さ1万2261メートルである。穴が掘られたのは旧ソ連時代。1970年に掘り始め、92年に最深部に達した。計画では1万5000mを目指してさらに掘り進めるはずだったが、地下の高温に阻まれた。穴を掘った目的は科学掘削。すなわち地下深くはどんな岩石からできているのかなど、地下環境を科学的に調べるためだった。
世界一深い穴。しかし12キロメートルでも地球の半径のわずか500分の1にすぎない。人類はそれより中のものを見たことも触ったこともないのである。
アビスがどのような経緯で出来上がったかはまるで不明だ。
現代においての限界地点は1万2261メートルで打ち止めとなっている。
13ページ目:
認識の甘さを知るレグ。
深界二層『誘いの森』まで赤笛が降りると『自殺』扱いになる
自殺扱い
赤笛は深界二層まで降りることが『自殺』扱いとなる。
白笛であればラストダイブが同じ扱いなのだろう。
14ページ目:
レグの『腕を伸ばす作戦』が通用しない場所もある。
シーカーキャンプの防人さん
深界三層『大断層』について
垂直の崖をどうやって登り降りできるのか・・・?
レグはどうやって上がってきたのか?
外国の探検家の飛行船
リコたち赤笛や、ハボさんたちは『探窟家』である。それに対して、外国の『探検家』となっている。
探検家と探窟家の違いは、目的の違いだろうか?探検家はあくまでアビスの調査が目的で、探窟家は遺物を持ち帰る・・・か?
シーカーキャンプの防人さんにお話しを聞くこと
リコは、防人さんにお話しを聞くことを大丈夫かな?と心配していた。
なにが心配なのか考えてみた。
赤笛が深界二層に踏み入ることが『自殺』扱いされており、本来は禁止されているからだろうか。質問に答えてもらえず、むしろオースの街に連れ戻されることを心配しているのかな。
深界三層『大断層』 4000mを超える垂直の崖
どう考えてもヒトがこの距離を登り降りするのは無理だ。月笛、つまりリーダーはここまでは許可されているらしい。
リコのお母さんは、呪い避けの籠を抱えながらどうやって登ったんだ?
遺物の中には飛行能力があるものでもあるのだろうか?アビスの呪いはどうやって回避したのだろうか?
ちなみに奈落見取図には真っ逆さまに落ちている人のような姿がある。
15ページ目:
アビスの底を目指す旅は、レグの記憶にかかっている。
深界四層『巨人の盃』
上昇負荷のエグさ
深界四層『巨人の盃』
地図がないし道もない。
植物はお湯をはってて、成長中のは酸を張ってる。
上昇負荷を教える絵は、吐き気を催すレベルなのだろう。
16ページ目:
深界五層
水中でリコを守りながら行く方法を考えるレグ
深界六層『帰らずの都』深界七層『最果ての渦』
どう考えても5層で詰み
深界3−4層も12歳のこどもが立ち入れる場所ではない。しかしレグがいれば、人ではできないルートも確保できると思われる。
だが5層は突破不可能だろう。
潜水は確実に無理
5層は12000〜13000メートル、6層は14000メートルとなっているため、1000メートル潜水する必要がある。これはレグがいたからといって解決できる問題ではない。戻ることを考えないとはいえ、呼吸の問題、水圧の問題で不可能だ。ちなみに長い時間潜水すると方向感覚が喪失してしまうらしい。そんな状況で冷静に使用できるかは不明だが、星の羅針盤が役にたつのか?
ならば滝?
潜水よりは可能性があるかもしれない。
足場があり、レグの腕が届く距離に掴むものがあれば・・・?
17ページ目:
絶界行 ラストダイブ
白笛以外の情報は『ただの噂』
白笛の声はアビスの声
ラストダイブについて
深界五層から帰ってきた人は確認されているようだが、六層以下からはいないようだ。
白笛でさえも、『本人が』帰ってきたことはないのだろう。
しかし封書や飛行船は届くことがあるらしい。
だが5層は一面に水が張られている。飛行船がここを突破できることなんてあるのだろうか?
というより5層の水は6層でどうなっているんだ?まるで検討がつかない。
18ページ目:
アビスの詳細を聞きますます『その気』になってるリコ
『お母さんが待ってる』を理由に反発するリコ。ムッとするナット。止められないシギー。
ナットがあえて言わずにいた言葉
とぼけるリコに対して・・・
なぜリコは『その気』になれる?
レグがアビスの底を目指すのは『自分が一体何者なのかを知るため』。そして彼の頑丈な体は、おそらく深界六層から一層まで上ることができている。彼だけならばアビスの底にたどり着けそうではある。
だが、リコはどうだろうか。シギーの話を聞く限り12歳の女の子に突破できる余地はない。レグが付いてきてくれるから希望が見えたものの、そもそもリコは一人でもいくつもりだったようだ。しかもレグと違ってアビスの危険性についても十分理解した状態で。
リコが無事にアビスの底を目指すのは絶対に不可能である。
なんで笛が上がった?
1巻の最大の謎の一つ『なぜ白笛が上がったのか』、さらに言えば『どうやって白笛がたどり着いたのか』。
どうやってに関しては、レグが『封書』と『白笛』をもってきたのだろうと信じている。しかし、なぜに関してはわからない。
ざっと思いついたことを書いておく
理由1:ライザは死んでいる。遺書の代わりに封書や白笛を送った。
理由2:ライザは生きている。自分の意思で封書をおくった。しかし六層まで降りたために自分自身ではオースの街に自分の声を届けられない。だから自分の証である白笛も一緒に託した。
理由3:ライザは生きている。しかし白笛や封書は奪われたもの。
理由2が一番腑に落ちるが、どうだろうか。
19ページ目:
涙を流しながら辛い言葉をいうナット
衝撃をうけるリコ
泣き出すキユイ
反論も攻撃もせず逃げ出すリコ
「お前の母ちゃん 死んでんだよ」への反応からリコの心を探る
ナットのきつい言葉に、リコはショックな表情を見せていました。
しかし元々リコは、復活祭のときにライザは死んでいることを受け入れていました。目指していた人が消えちゃったような気がして、と。しかも悲しくもないのです。
実は1巻1話でも、もっと深いところへいくためにリーダーを説得するのに『お母さんを出したら聞いてくれるかも作戦』を使っており、お母さんをダシに使っています。
以上のことから、リコの本心は『お母さんみたいになること』だと思われます。
しかしリーダーから自分の出自を聞き、その上でライザの封書をみたことで「お母さんに会いたい」という気持ちが芽生えたのでしょう。
とは言え、もともとライザが死んでいるだろうことは理解していたのです。だからこそ、ナットのきつい言葉に殴りかかることもできず、言い争うこともできず、ただ逃げていった。
孤児院にいる子どもはみんな孤児
ナットの言葉にキユイは大泣きします。
当のナットも涙を浮かべています。本来こんな言葉は言いたくなかったのだろうと思われます。
当然のことですが、ベルチェロ孤児院は孤児院で、みんな身寄りがいません。
あたりまえの辛い現実が耐えられなくなって泣き出すのは当然のこと。
リコの精神は人間的とはいえない
リコがアビスの底を目指す建前は「お母さんに会いにいく」ため。
リコはお母さんが死んでいることを理解している以上、建前にすぎません。
本当はレグの心境と同様に「いてもたってもいられなくなった」だと思います。
面白いのは、人間であるリコよりも、ロボットであるレグのほうが人間的で理解できることです。
レグは、自分の正体を知る手がかりがアビスの底にあり、それを叶えるポテンシャルがあります。
いっぽうのリコは、お母さんはおそらく死んでいるし、仮に生きていたとしても、それを叶える実力すらないのです。
もはやリコの精神は人間とは言えないのかもしれません。
おまけページ
『白笛』は5人だけ?
『白笛』は本人以外は使用ができない遺物という説明がありました。
この図には白笛の数は5つ描かれています。形状はバラバラ。
階級があがるにつれて意匠が凝ったものになっていますが、白笛に関しては笛っぽさもなくなっています。
これからリコたちは『白笛』とも会うのでしょうか。
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