メイドインアビスに登場する『星の羅針盤』について紹介していきます。
この記事は2022年放送予定のメイドインアビス 烈日の黄金卿に相当する内容を含んでいます。原作未読の方はネタバレにご注意ください。
この記事では
・原作1−10巻およびアニメ1期で描かれた星の羅針盤のまとめ
・星の羅針盤についてわたしの考察
・今後の予想
といった順序で書き進めております。
『星の羅針盤』の基本情報
リコがちょろまかした遺物の一つ。リコ曰く「奈落の底を指している」。
星の羅針盤についての公式説明
アニメ 4話タイトルでは奈落文字で「ほしのらしんばん」とでている。
ここで書かれている内容は、ほぼ原作2巻のおまけページに書かれていることと同じ。
名称について
この遺物の名称『星の羅針盤』は、リコが勝手に名付けたものである。
星の羅針盤と名付けたシーンは描かれていないが、レグの火葬砲の名付け親はリコである。
実はこの遺物の名称について奇妙なことがある、ワズキャンも『星の羅針盤』と呼んでいたことだ。
ワズキャンはなぜ『星の羅針盤』と言った?
ワズキャンは、ヴエコのもつ羅針盤について『星の羅針盤』といっている。
『星の羅針盤』とはリコが名付けたものだ。
ガンジャ隊が、この羅針盤のことを「星の羅針盤」と知っているはずがない。
ワズキャン以外『星の羅針盤』と言っていない
8巻での星の羅針盤の推移を時系列に並べてみる。
まずジュロイモーはこの物体の正体がわかっていなかった。
その後、生き残りは「羅針盤」と明かしている。星の羅針盤とはいっていない。そして羅針盤が屹立するところに『大穴』があり、大穴の中に『黄金卿』があることを知らされる。
次にこの羅針盤をヴエコが手に入れ(経緯不明)、ヴエコはガンジャ隊に入隊する。そこでワズキャンは唐突に『星の羅針盤』といっている。
なぜワズキャンは『星の羅針盤』といったのだろうか?
ガンジャ隊が得た情報から名付けるとしたら、『黄金の』とか『大穴の』羅針盤となるべきではないだろうか?
また、ワズキャンは星の羅針盤を見た際に『望郷』を感じたといっていた。
であれば『望郷の』羅針盤とでも名付けるべきではないだろうか?
なぜワズキャンが星の羅針盤と言ったのかはわからない。
これがベラフが言う「神がかり」なのだろうか・・・。
等級について
四級遺物(推定)となっている。
リコが深界一層で掘り起こし『ちょろまかした』ため鑑定もされていないと思われる。仮に鑑定されたとしても、深界一層から出土した遺物は『ガラクタ』と評されるだろう。
そもそも遺物がどういう機能を持っているかは不明であることが多い。等級というのは案外当てにならないものではないだろうか。
星の羅針盤の所有者の移り変わりについて
もともとはオース先住民が所有していたと思われる。しかし黄金卿を目指したものが奪い取ったと思われる。
→黄金卿を目指した生き残り
→ジュロイモー(ヴエコの養父)
→ヴエロエルコ(ヴエコ)
→オース先住民の老人
→…→リコ(深界一層より出土。リコの担当区域、おそらく150メートル付近で出土したと思われる)
→2巻にて紛失。その後は行方不明のまま。
星の羅針盤を所有したものは全員、アビスの外あるいはアビスの淵で手放してしまっている。
星の羅針盤の構造
外側:透明なガラス(?)に模様(雲や風?)がついている球。そして球の外側を囲う輪。外輪は浮かんでいて、目盛りのようなものが入っている。
内側:上下および左右に尖った物体。左右と上の方向は剣状。下の方向は小さな玉と山括弧型。
星の羅針盤について確定事項、未確定事項のまとめ
確定事項
・深界一層から出土した(2巻おまけページより)
・リコが星の羅針盤と名付けた(2巻おまけページより)
・横の突起は特に東西南北を指してはいない(2巻おまけページより)
・振っても回しても中の羅針盤らしきものは微動だにしない(2巻おまけページより)
・羅針盤をたどった先に孤島(アビス)があった(8巻ハローアビス48より)
未確定事項
いかなるときも空の果てを指し示す(1巻ハローアビス01リコの言葉)
本当は正しいのかもしれない。しかし、いまのところその逆、奈落の果てを指していると考えられている。
この星の底 奈落の果てを指していた(1巻ハローアビス01リコの言葉)
たしかに羅針盤をたどると大穴の孤島にたどり着いた。しかしだからといって奈落の果てを指していると確定したわけではない。
『奈落の果て』とは、アビスの最深部という意味だろうか。
星の羅針盤の所有者は、全員アビスの外あるいはアビスの淵で羅針盤を手放している。アビス中間層や深部でどのような挙動をするかはわかっていない。
アビスの真実に導いてくれるもの(アニメ1話冒頭、リコとナットの会話より)
アビスの真実が明かされるのは最終盤だろう。まだ確定したわけではない。いずれ確定事項になると予想している。
坂道の角度を正確に測る道具。この考えは撤回されている。(1巻ハローアビス01)
ロマンが足りないという理由で撤回されている。この遺物では坂道の角度はわからなかったのだろう。
上か下かがわかる
たしかに孤児院にいるときには上か下かがわかる。しかし羅針盤の針が動く可能性があるため確定とはいえない。
磁石でも重しでもない(2巻レグの考察より)
おそらくレグの言う通りだろう。しかし磁石を使った様子が描かれていないので確定とは言えない。重しとしては使おうと思えば使えるのでは?
羅針盤が屹立するところに大穴、黄金卿がある(8巻ハローアビス48生き残りの言葉)
→たしかに羅針盤が屹立したところの近くに大穴はあった。しかし、そもそも黄金卿の定義が曖昧であり、ガンジャ隊が黄金卿にたどり着いたと言えるかは不明。10巻以降に期待。
星の羅針盤についてのリコの考察過程
1巻ハローアビス01の1日前は『坂道の角度を正確に測る道具』と考えていた。まだ名付けていない。
しかし1巻冒頭では、『いかなるときも空の果てを指し示す不思議なコンパス 星の羅針盤』としている。ここで名付けしたことがわかる。
その後「実は その正反対・・・この星の底 奈落の果てを指していたのです」と考えを修正した。
このような考えを経て、リコは星の羅針盤のことを「奈落の底を指し示している」とか「アビスの真実に導くもの」と結論づけている。
星の羅針盤についてわたしの考察
ここからは私の星の羅針盤についての考察を述べていきたいと思います。考察の要は、羅針盤の針が『傾いているかどうか』です。
なぜ羅針盤の「傾き」が重要か
わたしは以下の図のように想定しています(図はおおざっぱです)
考察の肝は、次の2点の想定です。
1、8巻ハローアビス48で、ガンジャ隊は孤島へ上陸前に羅針盤が屹立したことを確認したと思われる。
2、1巻ハローアビス01で、ベルチェロ孤児院(オース西区)で羅針盤の針は傾いている(ように見える)。
この2つから、羅針盤の針はアビスの中心ではなく外側を指しているというのが私の結論になります。
1巻と8巻とでは時系列が異なっていますが、考えの道筋として面白い試みだと思っています。
また1巻で羅針盤が「傾いていない」とすれば、それはそれで重要です。
その場合は以下の図のようになります。
もしリコのいう「奈落の底」が「アビスの中心」であれば羅針盤の針はアビスの方向に向かって傾いているべきです。
以上のことから、羅針盤が傾いているかどうかは真剣に議論すべきと考えています。
各巻における針の傾きについて
1巻で星の羅針盤が描かれる場面で針は傾いているように描かれています。また8巻でもヴエコが見つめる針は傾いています。
この他にもリコが孤児院にいる時には針が傾いて描かれています。
このように基本的に羅針盤の針が真上を向いている描写は少ないのです。
ただし真上を向いているように見えるときもあります。それが2巻でリコとレグが深界一層に潜ったとき。
2巻おまけページ
アニメのオープニング
このように羅針盤の針は、傾いて描かれたり、真上を向いていたりします。
羅針盤の針というものは、本当は傾いていても視点によっては真上を向いているように見えます。
ですので正確なことは判断しずらいですが、振っても回しても微動だにしなかった針が明らかに変化があった描写が一度だけあります。
羅針盤の針に変化があった場面とは
「羅針盤が屹立するところにある」という言葉は、当然この時点では羅針盤が屹立していない証拠です。
羅針盤をたどった先でヴエコは羅針盤の変化を察知しています。
ヴエコが「ワズキャン!羅針盤が・・・!」といっています。そしてガンジャ隊は不可侵海域の孤島を発見します。
これまでガンジャ隊は、羅針盤の針の指す方向をたどって航海してきました。目的地は「羅針盤の針が屹立するところ」です。
ヴエコたちは羅針盤が屹立したことを確認したと思われます。
このことから8巻ハローアビス48では、羅針盤の針は傾いていたところから屹立したところまで描いてあると言えます。
では1・2巻ではどうだったでしょうか?
1巻では羅針盤は傾いていたと考える根拠
根拠1:星の位置
この絵はリコの視点から描かれている。明らかに針は傾いている。
羅針盤の針が「真上」を向いているとしたら、星もリコの直上にあるべきである。
リコは手を「傾けて」伸ばしている。真上ではない。
根拠2:坂の「角度」が正確にわかる道具と考えていたことがある
リコは星の羅針盤と名付ける前、つまり1巻1話の前日には「坂の角度が正確にわかる道具」と考えていました。
坂の「角度」と考えたのは針が傾いていたからではないでしょうか?
2巻では傾いていたか?
2巻ではリコとレグは深界一層(アビスの淵)にきています。この時、羅針盤は屹立しているように見えます。
可能性は2つ
1、本当に屹立している
2、実際は傾いているが、視点の影響で真上をむいているようにみえる
本当に屹立している場合は、わたしの考察において非常に重要です。
リコとレグがいる場所は、オース南区岸壁街から直下したあたりと思われる(出発地点が南区岸壁街。レグは直下したといっていた)。
羅針盤の傾きに関する結論
その1:羅針盤の針はいつも真上を指しているわけではない
間違いなく言えるのは、8巻でヴエコたちが黄金卿を目指した当初は羅針盤の針が真上を向いていたはずがないということです。当初から屹立していたとすると、すでに目的地に到着していることになってしまいます。
その2:羅針盤の針は所有者のいる場所で傾きが変わる
羅針盤の内部の針は間違いなく動いています。これは8巻の内容で明確になっています。
羅針盤の針は水平になってもよい
「アビスの真実(?)がある場所」と「所有者のいる場所」の深度(高さ)が一致した場合は、羅針盤の針は水平方向になるはずだ。
羅針盤の針が屹立した場所は海上だった
孤島へ『上陸前』に屹立したと思われることは重要な情報です。
そして、海上で屹立したということは1巻の描写と矛盾しません。
1巻の冒頭で、羅針盤の針はリコの方向に向かって傾いており、リコはアビスのほうを向いています。つまり針はアビスの外側を示していることになります。
羅針盤の針は、闇へ誘っていますが、アビスの中心は指し示していない。
考察
星の羅針盤は、アビスの中心を指すわけではなく、むしろアビスの外側を指し示していると考えた。
アビスの中心のほうが『力場』が強いことは作中で何度も言われており、外側のほうが弱い(シーカーキャンプやナナチアジト)ことも知られています。
『力場』=『アビスの呪い』ということもわかってきていますので、星の羅針盤が指し示しているところは『力場』や『アビスの呪い』の発生源ではないのかもしれません。
あるいは奈落見取図が誤っていて、本来アビスとはねじ曲がっているのかもしれません。
丸い遺物は願いの形?
星の羅針盤はいうまでもなく丸い遺物である。
8巻において干渉器がこのようなことを言っている。
このときは欲望の揺籃を指しての言葉だった。
しかし、星の羅針盤のほうが丸い!どうみても丸い。
より丸いほうがより強いとは限らないが、星の羅針盤も何かの願いを表しているのかもしれない。
そもそも遺物について
4〜5巻にわたってボンボルドの実験内容の一部が明らかにされる。そこで遺物『白笛』の作り方があった。
『白笛』は『命を響く石:ユアワース』を削り出してつくるそうだ。
さて二級遺物『命を響く石:ユアワース』の原料はなんだろうか?
答えは人間。
星の羅針盤の原料はいったいなんなのだろうか・・・?
大量の人間だったりするのだろうか?
メイドインアビスにおける方角について
羅針盤というものを考えるにあたって、方角というのは非常に重要です。
作中でオースやアビスの方角についての情報を以下にまとめた。
孤児院があるのはアビスの西。
真北とアビスの北はずれている。というより、アビスの北ってなんだ??
アビスの中では東西南北が、地上とは違う??
なぜレグは星の羅針盤を掴めなかったのか?
リコが星の羅針盤を紛失してしまったのは『事故』である。手がすべってしまって羅針盤を放り投げてしまったのだ。
さてレグはすぐさま星の羅針盤に手を伸ばす。
しかしスカッてしまう。
単純にレグが仕損じただけかもしれない。
しかし、もしかすると星の羅針盤はここで紛失しなければならない理由があったのではないだろうか??
思いつきその1:星の羅針盤は深界二層以下へはいけない?
リコも、ヴエコもアビスの淵で星の羅針盤を手放している。
それ以外のものはアビスより遠く離れたところだ。
もし星の羅針盤が、憧れをいだくものをアビスへひきよせる遺物だとしたら?
次拾ったひとに星の羅針盤が届く必要がある。よって深界にもっていかれるわけにはいかないだろう。
とはいえ、リコさん滝に流しているから、この説は我ながら説得力がないなぁ。
しかし憧れをいだくものをアビスへひきよせる遺物、という考えは何となくいい線いっている気がする。
もしかすると、アビスそのものが意思をもっているのではないだろうか??
ユアワースの原料は人間そのもの(魂?)。星の羅針盤の原料は、アビスそのものの意思?
思いつきその2:深界二層より下で、針が水平に向く?
わたしの仮設は、羅針盤の針はアビスの外側を指している、である。
たとえば羅針盤の針がシーカーキャンプのさらに奥を指し示していたとしよう。
もし星の羅針盤を持っていたとすると、羅針盤の針はシーカーキャンプにいた時点で水平になったのではないだろうか?
星の羅針盤は、奈落の底を指し示していたわけではないのでは?
それぞれの人物にとっての羅針盤
リコ
奈落の底を指しているもの
アビスへいつかお返しするもの
次拾ったヒトも冒険にでて、来てよかった!てなる可能性を秘めたもの。
ヴエコ
羅針盤を手にしていても自慢話「だけ」のお前とはちがう。それを証明する道具。
ではない。ただ「私」を知るものがいない場所へ連れて行ってくれる道具。
くびきであり たからもの。だが孤島へ到着してからはそうではなくなっている。
孤島へ到着した時点で、ヴエコにとって羅針盤は不要となっていた。
ワズキャン
ワズキャンにとって星の羅針盤は『望郷』を想起させたもの。
『望郷』とは、儚く 強い 強い 憧れ
星の羅針盤についての今後の予想
メタ含みます。
つくしあきひと先生は『星の羅針盤』をアニメ化するにあたって絶対にカットしないでくださいと言っていました。それが8巻で星の羅針盤を取り扱うからなのか、今後また重要な役割があるかは不明ですが、私は今後もでてくると考えています。
なぜなら8巻で「大事な 大事なもの 枢機の姿」と先住民が言っているからだ。
すうき【枢機】
肝心かなめの大切な所。 大切な政務。
枢機の姿とはどういうことか・・・?大切な役割を持った姿ということだろうか。
また『枢機』という言葉はここの他にもでてくる。
みんな大好きボンボルドの扱う光、スパラグモス(枢機へ還す光)である。
レグの火葬砲とスパラグモスは似ている。そして枢機というワード。なにかあると感じさせるには十分だろう。
疑問点まとめ
・真北とアビスの北はズレている。
・リコが星の羅針盤を紛失した理由。
・ワズキャンが『星の』羅針盤と呼んだ理由。
・枢機の姿、枢機へ還す光とは?
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