はじめに
WEBコミックガンマにて連載中の漫画「メイドインアビス」を1話ずつ考察する試みです。ネタバレ考察は極力除外しておりますが、気になる方はご注意ください。
前回はハローアビス02樹住まいの化石群を徹底考察しました。今回はハローアビス03元仕置部屋・リコ私室を徹底考察していきます。
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ハローアビス03 元仕置部屋・リコ私室 あらすじ
リコに電気を流されることで少年の風貌をしたロボットが目を覚ます。目を覚ましたロボットは記憶を失っており、自分がロボットであることも自覚していない。
孤児院が停電になったことから、リコはリーダーに連れられていく。少年は自分が一体何者なのだろうかと疑問に思う。
ハローアビス03元仕置部屋・リコ私室 を徹底考察
各ページ毎に考察していきます。
1ページ目
・ダイヤル「1」でもある程度は回復していた
「まだ名前のない少年の風貌をした機械」の意識がぼんやり回復しています。
視覚ははっきりしないものの、聴覚は回復していて、リコたちの声をちゃんとこどもの声と認識できています。
シギーが「ダイヤルを2のところに合わせておいて」と言っているので、ダイヤル「1」でこの状態までは回復できていたようです。
・「1」から一気に「20」にしてしまうリコ
この実験のリーダーを務めたのはシギーですね。
リコさんはダイヤルを一気に20にしてしまいます。おそらく意図的ではなく本気で間違えたのでしょう。
しかし、これまでの2話の描写で、文字で誰が話しているかわかるようになっているのスゴいなぁ。
2ページ
・悲鳴をあげる機械の少年
電気が流れ、悲鳴をあげています。
目には涙が見られます。
口には歯が見えます。
・喜ぶ子どもたち
みんな機械の少年が目覚めたことで前のめりになって喜んでいます。
3ページ
・昨日は石炭食わせてた
ハローアビス02から何日後の話かわかりません。
しかし「昨日」は石炭を食べさせても意識は回復しなかったようです。
いろいろ試行錯誤を繰り返し、電気を流してみたのでしょう。ここで重要なのは「電気が存在している」こと
わたしはアビスの中では機械が使えないと考えています。その理由は、探窟は人の手で行われているからです。
しかし機械文明は存在すると考えていました。なぜなら1900年前にはすでに飛行船が飛ぶくらいには科学文明が発達していたからです。
さて、オースの街では「電気」が使われていることが分かりました。
しかしながら電気が何に使用されているのかは分かりません。
・がっつきながら「お姉ちゃんでもいいよ!」
やはりリコはロボットくんが自分を助けたと考えていました。「キミが助けてくれたんだよね?」という疑問系ではなく、断定しています。
しかし「どうやってヘビを倒したのか」「どこからきたのか」「名前」に関することは解明できなかったようです。
それにしても「お姉ちゃんでもいいよ」と言ってるのはどういう気持ちでしょうか?
家族あるいは弟が欲しかった?だからキユイをよく世話している?
・手信号がある
手話のようなものでしょうか?
・えらく紳士的なロボットくんの最初の言葉と質問
リコはロボットくんに礼儀なしだったのに対して、ロボットくんは紳士的です。
質問に答えない(答えられない)ことを謝罪しながら「ここはどこだ?」と場所を尋ねています。
つまり言葉は理解していた。
さて最初の疑問は
「ここはどこだっけ?」でした。
4ページ目
・自分が何者かわからないロボットくん
次の疑問が「僕は誰だっけ?」です。どこ?⇨誰?という順に疑問がでています。
もしかすると「どこにいるか」のほうが「自分が何者か」よりも重要だった可能性があります。
いわゆる記憶喪失のようです。
さて、ロボットくんは解離性健忘にあたると思われます。
解離性健忘とは、トラウマやストレスによって引き起こされる記憶喪失(健忘)のことで、自分にとって重要な情報が思い出せなくなります。
解離性健忘で最もよくみられる症状が記憶障害です。
記憶障害には以下の分類があります。
1、現局性健忘 2、選択性健忘 3、全般性健忘 4、系統的健忘 5、持続性健忘
ロボットくんに当てはまりそうなのは、全般性健忘でしょうか。
全般性健忘では、個人的な自己同一性や過去の経験すべて、ときに習得した技能や世界に関する情報を含むとされます。
人間の場合は、健忘の診断にいくつかの検査が行われます。
MRIまたはCT検査:脳腫瘍などの脳の構造的な病気の可能性を否定するため
脳波検査:けいれん性疾患の可能性を否定するため
血液または尿検査:違法薬物の使用などを否定するため
心理検査
ロボットくんの場合は、健忘の原因は直前の電気かもしれないし、全く別の原因かもしれません。
まだ不明です。
・禍々しい器具を視覚し、恐怖する少年
リコの部屋にある禍々しい器具(手錠など)が描かれています。
ロボットくんは冷や汗をかいています。
5ページ
・ロボットくんの記憶と推理力
ロボットくんは器具のことを「禍々しい」と表現しています。よって道具に関しての記憶は失っていません。
さらに先ほどの痛みと関連づけてリコたちの仕事を拷問だと考えています。
よって現状のロボットくんは以下のようになります。
1、自分に関することは忘れてしまっている
2、器具に関する記憶は残っている
3、状況から論理的に考えることができる
・何かに気づくシギー
ロボットくんの疑問「ここはどこ?」に対してナットが回答しています。
ここは「リコの部屋」であり同時に「元お仕置き部屋」でした。リコは一体どれだけいたずらしたのでしょうか。
さてシギーが何かに気づいて左方向を見つめています。
・どこかへ向かうシギー
ロボットくんの疑問「君たちの仕事は拷問なのか?」に対してナットが回答しています。「探窟家」「見習いの赤笛」「アビスに潜って遺ぶつぅ」でロボットくんが理解できたかは不明ですが。
一方シギーは、何かに疑問をもって外へ出ています。
・自分がロボットだと理解できないロボットくん
リコは「お名前は?」「どんな機能があるの?」「キミを作ったのはだぁれ?」と立て続けに質問します。
ロボットくんは、自分の「左手」を見つめた後「僕は・・・ロボットなのか?」と確認をとります。
リコの質問は、ほとんどがロボットであることを前提にしたものでした。だからこそロボットくんは、今じぶんが視認できる自分の姿(機械と思われる左手)を見てから確認をとったのでしょう。
6ページ
・ロボットと断定するリコ
ロボットと断定した事柄(電気で動いた、火にも強かった、肌に傷一つつかなかった)を興奮気味に伝えます。
すべて人ではありえないことですね。
・ようやくロボットくんは記憶喪失であることがリコたちに伝わる
リコはロボットくんが記憶喪失のようであることを認識します。
ナットは「電気が強すぎたせい」と考えています。
シギーが慌てて帰ってきます。
・シギーが気づいた異変とは
シギーは青ざめながら孤児院の異変を報告します。
孤児院の電気みんな消えちゃってました。
しかし電気とは「電灯」のことでしょうか?
・逃げるナット、シギー、キユイと置いてかれるロボットくん
ナットがロボットくんも逃がそうとするも、頭が拘束されてて動けません。
ナットたちは時間がないためそのまま部屋を去ります。
7ページ目:痛みに恐怖するロボットくん
時間がないために、リコはロボットくんに布をかけて隠すだけになります。
「ひど目にあわされる」というリコの言葉に対して「あの痛みよりも!?」と内情を吐露しています。
明らかにロボットくんが痛みに対して恐怖を抱いている描写です。
8ページ目:ジルオの目つきがやばい
ジルオのリコを見る目つきが、まるで汚物を見る目です。
元お仕置き部屋にいれられる程これまでいたずらしていたリコですから、電気がきえた容疑の筆頭がリコだったのでしょう。完全に犯人はリコだと決めつけてかかっています。
・一直線に探り当てるジルオ
リコが隠したものをすぐに看破します。ジルオは観察力が高いのでしょう。
9ページ目:ロボットくんは自発的に消えていた
拘束されていたはずのロボットくんは消えてしまっています。
残されているのは、ヘルメットと右手にひっかかっていたマントだけです。
よってジルオはこれを見ても「小細工はシギー」「また訳のわからんこと」と結論づけています。
シギーも度々いたずらしていたのでしょうね。
10ページ目:伸び縮みする手
ロボットくんが天井にぶらさがり、そして引っ込んでいきます。リコはそれを見て驚愕しつつも声をあげないことに必死です。
・停電すると惨状になる
電気がどう使われているか描かれていないのですが、停電すると惨状が生じるようだ。
その惨状を起こしたとして、ジルオはリコに3つの罰を言い渡しています。
1、孤児院中の掃除
2、反省文
3、猛省文
反省文と猛省分の違いは不明ですが、猛省文のほうが大変そうです。
11ページ目:自分の状況を把握しはじめるロボットくん
痺れているためか、自分の腕を頭に落としてしまいます。
兜についてた金具?を引きちぎっています。かなり力を加えたように見えます。
伸びる金属の腕と兜を視認し「いよいよ疑わしいな」と言っています。
ロボットくんは自分がロボットだと認識していなかったのです。
しかしロボットくんは、「ロボットはこういうもの」「人間はこういうもの」という認識をもっていたので、人間ばなれした自分の現状を見て「疑わしい」と結論づけています。
・鏡を認識
鏡は自己を確認するために最適の道具です。
鏡にうつった自分をみて、ちゃんと自分だと認識できています。
あと鏡の左隣にある時計から、11時と確認できます。午前か午後のどちらかは不明。
12ページ:自問するロボットくん
自分の正体を知るために努力をはじめます。
・名前を知ろうとする
「僕は何なんだ?」の疑問を解消するべく自分の名前を知ろうとします。
つまり自分自身の名前はわからなくなっています。
・状況を整理し始める
ロボットくんは冷静に状況を整理し始めます。
ひとつめは「電気で目が覚めた」ことでした。よって電気で目が覚める前の記憶はなくなっているのでしょう。
つづいて周囲の状況を「歓迎された上に隠された」そしてその理由を「ロボットだから?」と非常に正確に捉えています。
13ページ目:ロボットに必要なのか?
極めて論理的に状況を整理し続けます。
「電気を流されたら目が覚める」は人間とロボットの違いではない。
「へそ」の存在はロボットに必要ではない。
この二つは、自分が人間である可能性につながります。
・コレも必要なのか!?
ズボンの中を見て「コレも必要なのか!?」と言っています。
ロボットくんは、ちんちんが持つ意味(生殖)をちゃんと知っていることになります。
生殖器がロボットに必要とは思えません。
ロボットくんは、次々に自分がロボットではない可能性をあげていきます。
・疑問を持つし、お腹もすく
ロボットが疑問を持つかどうかは分かりかねます。
しかし、お腹が減るということは生物特有の機能のようにも思えます。
・兜に謎の紋様
ロボットくんの兜に何かの印がありました。一見すると線対称のように見えますが、右上に点があります。
2つの点が何を意味しているのか?
電気で目覚めたことを考えると、バッテリー残量でしょうか?
14ページ目:恥ずかしがってる?
ロボットくんの顔は赤らんでいます。
そして胸を隠しています。3話12ページ目では乳首が描かれていました。
ロボットくんが「恥ずかしい」と思っているのならば、この気持ちはロボットに必要でしょうか?
・ジルオのオーラが鬼を纏っている
ジルオがリコを追ってきます。ものすごい剣幕です。
ロボットくんは反射的に手を伸ばして隠れます。
ロボットくんは状況整理の3つ目に手は伸びるに加え、そして4つ目に、彼女はひどい目に合うだろう・・・ としたところで3話が終わります。
ハローアビス03の考察まとめと気になったこと
時間と場所
・今回の話の舞台は元お仕置き部屋、リコ私室
・時間帯は午前あるいは午後11時(3話11ページ)
・おそらく午前。電気を流した際にロボットくんは大声をあげている。もし午後11時であれば、叫び声をあげた際に周囲を気にすると思われる。ただしロボットくんが目を覚ましたことの衝撃がそれを上回った場合そうとも言えない。
この世界においてロボットという概念が存在する
・目を覚ましたロボットくんに対して、リコは「ねえねえロボットくん」と問いかけている
・つまりロボットという概念がある
・アビスの探窟にロボットを用いない理由はなぜ?力場のせい?ロボットの概念はあっても技術が確立していない?
・「力場」のせいでロボットが使えないのならば、ロボットくんが動けた理由は?ロボットくんが遺物だからか?
ロボットくんが意識を取り戻したのは電気のおかげ
・昨日の時点で、石炭などの食料(燃料)を経口投与したと思われるが意識回復には不十分だった。
・ダイヤル「1」の時にすでに聴覚を取り戻していて、ぼんやりと視覚もある。
・ダイヤル「20」にて完全覚醒へ至った。
・よってロボットくんが意識を取り戻した理由は、電気を流したから。
孤児院に電気があることは確定。しかし電気を何に使用しているか不明。
・ロボットくんに電気を流し、結果として孤児院の電気はみんな消えてしまっているため、孤児院には電気が通っていることが確定した。
・停電すると孤児院に惨状が起きる。惨状の内容は不明。
・電気を何に使用しているか不明。
・電化製品、たとえば発掘作業につかえるドリルはないのか?あるとすれば発掘に持っていかないのか?
・時間帯が夜中であれば、リコの部屋の明かりの光源が電灯であれば電気が消えたさいに部屋が暗くなるはず。そうなっていないため電灯以外の光原がある。
・時間帯が昼であれば、電気が消えても太陽光で部屋が明るかった説明がつく。
シギーはどうして孤児院に異変に気づいた?
・シギーは何かを察知することで、孤児院の電気が消えちゃったことを確認している
・しかし、リコの部屋は電気が消えても特に異変(電灯が消えるなど)はなかった
・だれかが電気が消えたことで叫んだり、慌ただしくなっていたのか?
リコはお姉ちゃんと呼んで欲しかった
・ロボットくんへの自己紹介時に「私の名前はリコだよ!お姉ちゃんでもいいよ!」と言っている。
・リコは弟が欲しかったのか?だからキユイをよく世話している?
言語の他に手信号という文化がある
・ロボットくんがリコの問いかけに反応しないため、ナットは言葉がわからないのでは?と考えた。
・そこで手信号を用いた
・結果ロボットくんは普通にしゃべった。言語は共通していた。手信号を認識できたかは不明。
ロボットくんの記憶障害
・ロボットくんは道具の使用用途や方法は覚えている。禍々しい器具をみて拷問に使うものと理解しているし、鏡をみて姿を確認するものと正しく理解している。
・自分に関する情報が欠落している。自分がどこにいるのか、だれなのかといった情報。
ロボットくんについてわかったこと
・自律思考を持っており、論理的に物事を考えることができる
・痛み(危険)を回避する行動をとる
・自分の腕が伸びることを自由自在に操っている。
ロボットくんはロボットなのか?
以下にリコが調べたこと、ロボットくん自身の思考で明かされたことをまとめる。
ロボットくんがロボットである理由
・電気で動いた
・火にも強かった
・肌に傷ひとつ付かない
・伸びる金属の腕
・兜と頭がつながっていた(着脱可能だが、リコたちには外せなかった)
ロボットくんがロボットでない理由
・電気を流せば人も目が覚める
・乳首やへそ、ちんちんといったロボットに不必要なものがある
・食欲がある
・自分自身がロボットだと思えていない
・しかし状況的に自分がロボットなのかもと疑問に思うことができている
・「恐怖心」「恥ずかしい」という気持ちがある
・涙や汗をかく
わたしの考えはロボットくんは生物
さて現代における生物の定義とは、以下の3つの条件を満たすものである。
1、外界と膜で仕切られている
2、代謝を行う
3、自分の複製を作る
今のところ、この3つの条件をすべて持っているものは生物しかいないらしい。
それでロボットくんに関していうと、3つをクリアしてそうに思えた。
だからわたしはロボットくんが生物であると考えている。
しかし膜とは何かを考える必要がある。ロボットくんの皮膚は傷一つつかなかったため、単なる膜とも思えない。
お腹がすいたといっているが代謝を行っているかはわからない。
ロボットくんにちんちんはあるが、自分の複製を作るために機能するかどうかはわからない。
これらのことからロボットくんは生物であるとも言えるし、そうではないとも言えそうだ。
ロボットくんが記憶を失った理由
・ナットがいうように電気が強すぎたから?
・人間が記憶を失う理由は通常、心的外傷またはストレスによって引き起こされる。以下に健忘の原因となる例を載せておく。
兜に浮かんだ謎の模様
・模様はぱっと見では線対称
・しかしよく見ると右上に2つ点が描かれており、線対称ではない
ロボットくんの表情
・基本的に無表情
・痛みや今後の危険に対して、恐れた表情をとることができる
・自分でちんちんを確認した時、リコに乳首をみられる状況のとき頬を赤らめ恥ずかしがっている。
コメントお待ちしています
わたしはメイドインアビスは傑作だと確信しています。
まだまだ未熟な考察記事ですが、未読の方にも既読の方にも「メイドインアビスがすごすぎる」ことを知っていただきたいと感じております。
なにかお気づきの点がありましたら連絡フォームよりご連絡いただけますと嬉しく思います。
今後ともぜひよろしくお願いします。
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