仏教はお寺で神道は神社といった認識しかない人も多いですが、この記事でもう少し知識を深めましょう。
なぜ神道を知る必要があるのか
1、自国の文化を知らないと海外の人と話すときに困る
日本では宗教=怪しい、危ないとマイナスなイメージがありますが、海外では価値観の根底にある大切なものなので宗教に対する好奇心が強いです。
良好なコミュニケーションをするためにも、自国の宗教である神道について最低限知っておきましょう。
2、自分を知ることにつながる
日本人は宗教観に乏しいですが、実際の生活には仏教や神道の精神が根付いています。
神社への参拝、墓参り、お盆などについて知ることは、これまで考えてこなかった習慣について理解を深めることができます。
神道の概要
仏教はヒンズー教がルーツですが、神道は日本独自の考え方です。ここでは
①神道の歴史
②神道の信仰対象
③神道の大事な考え方
をみていきます。
神道の歴史
日本人は無意識に神道を信仰する傾向にあるので、正確な信者数は数えられませんが、全国で神社は約8万社あるとされています。
コンビニは全国で約6万店舗、自動販売機は全国で12万台あるので、それくらいの規模感で存在しているのです。
そんな神道は何年に成立したという明確な書物が存在せず、一説では弥生時代頃に生まれたと言われています。
一方、仏教は6世紀に遣隋使によって中国や朝鮮半島から伝わりました。
当時は仏教推進派の蘇我氏とアンチ仏教の神道大好きな物部氏が対立していたのですが、戦いで蘇我氏が勝利して仏教が国中に広まることに。
それ以来影を潜めた神道ですが、19世紀に大きな転換点を迎えます。それが明治維新です。
明治維新後は尊皇攘夷(天皇を尊重して外国に勝つ)という考え方が根底にあり、宗教も外から来た仏教じゃなくて日本古来の神道を信仰するべきだ!となったのです。
これで生まれたのがいわゆる国家神道です。
しかし、時は進み第二次世界大戦で敗北した日本は、GHQ (マッカーサー)からの「国をあげて神道を信仰するのはやめましょう」という指令によって国家神道は消滅させ、今の形に至るのです。
神道の信仰対象
神道では万の神を信仰します。つまり、世の中のありとあらゆる所に神が宿るという考え方です。
ちなみに、他の宗教のような預言者・開祖・経典は存在しません。
地理的に災害が多い国なので、自然と調和して自然の神秘的な要素を信仰する人が多かったのでしょう。
神道の大事な考え方
神道では汚れることを極端に嫌います。よく初詣で神社に行ったときにお水を救って手を洗うと思うのですが、あれも身を清める目的です。
滝行も身を清める“禊”の一環ですし、神社で行うお祓いもその一種です。
神道における神様
神道は八百万の神と呼ばれるほど、神様がたくさんいます。というのも、生活する上でのあらゆる所に神様がいると考えるからです。
「トイレの神様」などもそうです。
世界的なベストセラーになった近藤麻理恵さんの「人生がときめく片付けの魔法」では、モノに魂がこもっている擬人の表現があり、それが一神教の欧米人にとって新鮮であったことが人気の秘訣と考えることもできます。
それくらい神道では神様が多いのですが、ここではその中でも有名な神をピックアップして紹介します。
①天照大神
②イザナギ・イザナミ
③菅原道真
④靖国神社
それではひとつずつ見ていきます。
天照大神(アマテラス)
天照大神はその名の通り、天を照らす太陽の神として日本各地に祀られています。その中でも一番有名なのが三重県の伊勢神宮です。
漫画やゲームなどの名称でよく出てくるアマテラスは、神道における神だったのです。
イザナギ・イザナミ
アマテラスの両親です。
日本神話では、この世ができたときに最初に生まれたのがイザナギ・イザナミであり、彼らが海をかきまぜて日本を作ったとされています。
菅原道真
福岡の太宰府天満宮に学問の神様として祀られているのが、菅原道真です。
菅原道真はもともと人間です。無実の罪で太宰府に左遷され貧しい中で生涯を終えてしまい、そのためかその後、都で異変が相次いで起こりました。
これを道真のたたりと恐れた人々は、太宰府に社殿を作ってその怒りを鎮めようとしました。
これが太宰府天満宮の始まりです。
靖国神社
明治維新から第二次世界大戦の間に戦死した軍人を神様として祀っています。
中国や韓国の人からすると自分の国を攻めてきた人を神様扱いしていることになります。
このため総理大臣がこの神社を参拝することが問題視されている理由です。
まとめ
日本独自のルーツを持つ神道は、仏教と絶妙にバランスをとりながら現在まで残っている伝統宗教です。
神社にお参りに行ったりお相撲中継だったり、無意識に神道の行事に参加していることもあります。
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