こんにちは。歯科医師のにこです。
今回は歯磨き粉の徹底解説シリーズの第2弾となります。
わたしが現在(2021年5月〜)使用している「チェックアップ スタンダード」について解説したいと思います。
今回の記事では
- 「チェックアップスタンダード」とは
- 特徴やメリット
- 使ってみた感想
などを実際に使っている人の目線で書いてみました。
「チェックアップスタンダード」の購入を考えている人にとって有益な情報となれば嬉しいです。
ちなみに前回はコンクールジェルコートFについて解説していますので、こちらもご覧いただけますと幸いです。
チェックアップスタンダードについて
「チェックアップスタンダード」とは、LIONが発売しているCheck upシリーズの中で最もスタンダードな大人用歯磨き粉で、歯科医師のわたしが最も良いと考えている歯磨き粉の一つです。
(Check upシリーズについてはこちらの記事をご参照ください)
歯科専売品でありながら、Amazonでは512円/135グラム(4円/グラム)と非常にお求めやすい価格になっていますので日常の歯みがきに最適です。
ライオンはこの歯磨き粉の「こだわりポイント」を以下のように述べています。
細かく内容を見ていきましょう
1.高い虫歯予防の効果
フッ素は歯の表面からミネラル成分が溶けだす脱灰を防ぎ、溶けだしたミネラル成分を再び、取り込む再石灰化を促進することで、虫歯を予防します。
はっきりと科学的根拠に基づいてむし歯の予防効果があると言えるのはフッ素のみです。
高濃度のフッ素は歯磨き後も長時間お口の中に残るので、再石灰化時間も伸び、さらに虫歯予防効果が高くなります。
フッ素1450ppm配合歯磨き粉は、フッ素950ppm配合歯磨剤(例えばジェルコートF)よりも長時間唾液中のフッ素濃度が高くなることがわかっています。
フッ素が最大量である1450ppm含まれているチェックアップスタンダードは虫歯予防効果は高いと判断できます。
2.低発泡・低刺激でブラッシングに最適
チェックアップスタンダードは低発泡・低刺激となっています。
発泡剤はメリットもありますが、デメリットもあります。チェックアップスタンダードは中間地点をとっているバランスの良い歯磨き粉となっています。
そもそも発泡剤は何のために入ってるのでしょうか?
発泡剤が入っている理由
発泡剤は泡立ちが良くするために配合されています。
泡立つことで「磨いたときの爽快感が得やすい」「すみずみまで歯磨き粉が行き渡りやすい」といった特徴があります。
市販の歯磨き粉で多く使用されている発泡剤は「ラウリル硫酸ナトリウム」で、チェックアップスタンダードにも含まれています。
発泡剤は過去には危険な成分として問題視されたこともありました。しかし、歯磨き粉に含まれているのはごく微量であり、かつ歯磨き粉は飲み込むものでもないため安全面において問題ないと考えられます。
発泡剤の2つのデメリット
「安全」という点では問題がない発泡剤ですが、「虫歯予防」という観点ではデメリットもあります。
第一に、「しっかり磨けた」と誤解しやすいこと。発泡剤が入っていると軽くブラッシングしただけで泡が立ち、爽快な気持ちになってしまいます。実際には磨けていなくても磨いたつもりになってしまい、短時間で歯磨きを終えてしまう方がいると言われています。
第二に、泡立ちが強いために口をしっかりゆすぎたくなってしまうこと。うがいをしすぎてしまうと、せっかくの有効成分である「フッ素」が流れてしまいます。歯磨きをしている短い時間ではフッ素があまり歯質に吸着されません。十分に取り込むためには、できるだけ水で流さないことが大切です。
3.低研磨で歯にやさしい
研磨剤が入っていると「汚れを落とす効果」すなわち「ホワイトニング効果」が得られます。
しかし、この研磨剤によって「歯が削れてしまう」と言う歯医者もいます。
たしかに昔の歯磨き粉には「金属類の研磨剤」が含まれていたため「歯を削る可能性」が報告されていました。
現代においては研磨剤についての調査が進んでおり、研磨剤によって「歯が削れる」というのは考えにくくなってきています。
それでも歯茎(歯肉)や歯の根、すり減ってしまった歯に対してはダメージを及ぼす可能性があります。
知覚過敏の方や、すでに歯の根の部分が露出してしまっている方などは研磨剤無配合のものが推奨されることもありますが、基本的には研磨剤が配合されていても誤った歯みがき方をしなければ問題は少ないと考えています。
とはいえ低研磨であることは歯や周囲の組織にとってやさしいことは間違いありません。
4.フッ素が950ppmから1450ppmにアップ!
以前のチェックアップスタンダードはフッ素濃度が950ppmでした。
しかし2017年3月より日本国内でフッ化物配合歯磨剤のフッ素配合上限が、国際基準(ISO)と同じ1500ppmを上限として認可されたことを受け、1450ppmへとアップグレードしています。
歯科医院でお勧めされる歯磨き粉の一つであるジェルコートFは、変わらずフッ素濃度950ppmのままです。
チェックアップは時代の進化に対応しているところが高評価です。
※6歳児未満への使用は控えてください。
チェックアップスタンダードのどこが良いの?
チェックアップスタンダードは、低い研磨力、そして最高濃度のフッ素という最小成分で構成されています。
実はこれはかなり珍しい構成で、他の歯磨き粉には薬効成分をいれたがります。
これをイヤな言い方をすると「ゴミが入った歯磨き粉」となります。
「ゴミが入った」とはどういうことでしょうか?
薬効成分の多くはゴミ
バイオフィルムにも浸透すると言われる殺菌成分であるIPMP(イソプロピルメチルフェノール)や、抗炎症作用のある成分といった薬効成分がある歯磨き粉は、いろいろな効果があると謳えます。
例えば「口臭予防」とか「歯周病に効く」とかです。
ですがこれらの薬効成分は実はゴミであることが多いです。
例えば殺菌効果を持つことで有名なCPCやIPMP。
CPCは歯磨きで浮かせた細菌に対して、殺菌力を発揮するもので、歯垢の中に潜む細菌を殺菌できるわけではありません。
ではIPMPはどうか?IPMPはバイオフィルムに浸透すると言われています。
ですが、そもそも歯みがきの目的はバイオフィルムを取り除くことです。バイオフィルムを取り除いてしまえばIPMPは必要ありません
むし歯予防効果があると言われるCPC,IPMPはどちらも歯みがきができてたら必要ないものです。
では抗炎症成分はどうか?
たしかに炎症を抑えることで歯茎からの出血は減らせることが期待できます。
しかし、そもそも炎症とはなんでしょうか?
炎症とは、免疫系統が細菌と戦うための成分によって引き起こされた症状です。
ですので炎症を抑えると、むしろ細菌は増えやすい環境になります。
抗炎症作用を持たせて歯茎が引き締まって出血が減ったとしても歯周病が治ったわけではありません。
唯一歯磨き粉に入っているべき成分は「フッ素」です。
よっぽど歯みがきができない方であれば薬効成分が有効に活用されることもありますが、自身で歯みがきができる方の多くは歯みがきに含まれる薬効成分は、歯磨き粉の値段を上げるだけの「ゴミ」になり得ます
実際の使用感
甘さ・辛さ・苦さはいずれも控えめで、シンプルなミント味も好感触でした。
必要最小限の成分、かつ最大の働きを持つ歯磨き粉
ライオンのチェックアップ スタンダードは、しっかりブラッシングしたい方におすすめです。
低研磨・低発泡なので、口の中が辛くなることなく、気になる箇所をじっくり磨けます。
ほどよい清涼感のあるミント味も好評で、万人受けするやさしい口あたりが特徴です。
ただし低研磨ゆえに汚れを落とすのに良いとは言えません。
最小限の構成ながら、歯磨き粉としてむし歯予防という最大の効果をもった歯磨き粉ですので、自信をもってオススメできます。
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